残クレで車を返却するときの条件は、メーカーによって違います。
さらに同じメーカーでも、車種、契約する商品、販売会社、契約時期によって条件が変わる場合があります。
特に確認したいのが、走行距離、傷やへこみ、事故による修復歴です。
そして大事なのは、「基準を1つでも超えたら車を返せなくなる」とは限らないことです。
基準内なら追加精算なし、基準を超えたら超過分を精算、それ以上になると残価保証の扱いが変わる、と段階を設けている商品もあります。
残クレを選ぶなら、単に「返却条件があります」と聞くだけでなく、自分の契約ではどこが境界になるのかまで確認しておく必要があります。
返却条件はメーカーで同じではない
主要メーカーの現在の公式情報を見るだけでも、かなり違いがあります。
| メーカー | 走行距離 | 傷・車両状態 | 事故・修復歴 |
|---|---|---|---|
| トヨタ | 販売店ごとに設定 | 販売店ごとに査定条件あり | 損傷・事故修復歴なしが残価保証条件 |
| Honda | 月1,000kmまたは1,500km | 内外装減点100点以内 | 修復歴は別途精算 |
| 日産 | 月1,000kmまたは1,500kmが基本 | 車種により免責10万・15万・20万円 | 事故による修復歴なしが残価保証条件 |
| SUBARU | 月1,000kmまたは1,500km | 普通・小型車10万円以内、軽5万円以内 | 修復歴・機能損傷なしが基準 |
| スズキ | 3年4万km、4年5万km、5年6万km | 査定減点50点以内 | 車両状態を査定して精算 |
| ダイハツ | 原則1年1万2,000kmを基準 | 内外装・事故歴の査定減点50点以内 | 査定減点に含めて判定 |
| 三菱 | 月1,000kmまたは1,500kmを選択 | 所定の車両状態条件 | 一部契約には事故修復歴による価値減少を補う仕組みあり |
この表だけでも、「残クレなら年間1万2,000kmまで」と一律には言えないことが分かります。
契約時に選択できるメーカーもあれば、契約年数ごとに総距離が決まっているメーカー、販売店ごとに設定するメーカーもあります。
また、傷の基準も「何センチの傷まで」という単純なものではありません。
中古車査定の減点方式や査定による価値減少額で判断する商品が多いため、傷の数だけでは返却時の負担を事前に決められません。
走行距離は「月1,000km」が全メーカー共通ではない
残クレでは「月1,000kmまで」と聞くことがあります。
Honda、日産、SUBARU、三菱には月1,000kmや1,500kmを選ぶ商品があります。
一方、スズキの「かえるプラン」では、返却時の条件として3年なら40,000km、4年なら50,000km、5年なら60,000kmという総走行距離を示しています。
トヨタは全国一律の距離をメーカー側で決めておらず、販売店で確認する仕組みです。
つまり、自分が確認すべきなのは「残クレの一般的な月間距離」ではありません。
見積書や契約書に記載された、契約終了時の総走行距離上限です。
年間15,000km程度走る人なら、月1,000km相当の契約では5年間でかなり差が出ます。
通勤距離が長い人、仕事でも車を使う人、旅行や帰省で長距離を走る人は、契約前に自分の現在の年間走行距離を確認したほうがよいでしょう。
距離を少し超えただけで返却できなくなるとは限らない
ここは誤解しやすいところです。
走行距離の基準は「1kmでも超えたら車を返せない」という意味とは限りません。
Hondaでは走行距離を超えた場合、車種に応じて1kmあたり5~10円の負担額を設定しています。
スズキでは規定距離を超えた部分について1kmあたり5円です。
SUBARUにも超過距離に応じた精算方法があります。
日産はさらに分かれていて、「免責基準」と「精算可能上限」の両方を設定しています。
たとえば月1,000kmの3年契約なら免責基準は36,000kmですが、一般的な対象車では54,000kmまでを精算可能上限としています。
つまり、
基準以内なら追加負担なし
基準を超えても一定範囲なら追加精算して返却可能
という商品があります。
「何kmまで無料か」だけでなく、「何kmまでなら精算して返却できるのか」も確認したほうがよいでしょう。
傷は「1か所あったら追加料金」ではない
車を数年間使えば、小さな擦り傷やへこみが付くことはあります。
だからといって、傷が1つあるだけで残価保証がなくなるわけではありません。
Hondaでは、返却時の内外装について中古車査定の減点が100点以内なら基準内です。100点を超えた場合は、超えた部分について1点1,000円の負担となります。
スズキでは50点までが基準です。
SUBARUでは点数ではなく査定による価値減少額で示しており、普通・小型乗用車では10万円以内、軽乗用車では5万円以内を引取条件としています。
ダイハツでは、内外装と事故歴に関する査定減点50点以内という条件が示されています。
このように同じ傷でも、メーカーによって基準そのものが違います。
「小さい傷だから大丈夫」「10cmを超えたら必ず請求」といったネット上の一般論だけでは判断できません。
実際の査定では傷だけでなく、その位置、大きさ、へこみ、修理の必要性などによって減点されます。
事故を起こしただけで「修復歴あり」になるわけではない
残クレの説明では「事故歴」「修復歴」という言葉が出てきますが、同じ意味ではありません。
自動車業界でいう修復歴とは、単に事故で修理したことではありません。
車体の骨格に当たる部分を修正・交換した場合に、修復歴ありと判定されます。
たとえばバンパーを擦って交換した、ドアをへこませて板金したというだけでは、必ずしも修復歴車になるわけではありません。
その場合でも傷や修理による査定減点の対象になる可能性はありますが、「事故を起こした=残クレの返却不可」と考えるのは正確ではありません。
反対に、車体の骨格部分まで損傷して修復歴が付けば、扱いは大きく変わります。
トヨタ、日産、SUBARUなどでは、事故による修復歴がないことを残価保証・引取条件として挙げています。
Hondaでは事故の修復歴があった場合、別途規定の精算金を負担する仕組みです。
そのため事故後に確認するべきなのは、「事故を起こしたか」だけではありません。
販売店へ、今回の修理が残クレ上どのような扱いになるのか確認する必要があります。
修復歴が付いても「絶対に返却不能」とは決めつけない
ここもメーカーによる違いがあります。
「残価保証条件から外れる」と「車そのものを返却できない」は同じ意味ではありません。
SUBARUでは、修復歴など引取条件を満たさない場合について事故による価値減少分を精算する規定があります。
Hondaも事故の修復歴がある場合について別途精算金を設定しています。
トヨタも全国案内では、残価保証条件を満たさない場合に車両状態などに応じた精算金を負担する場合があるとしています。
一方、日産では修復歴なしを残価保証条件として明記しています。
したがって事故を起こしたときに必要なのは、「もう返却できない」と自己判断することではありません。
自分の契約で、
残価保証から外れるだけなのか
追加精算で返却できるのか
返却できる上限が設定されているのか
を確認します。
メーカーだけでなく販売会社でも条件が違うことがある
「トヨタの返却条件は何km?」と検索しても、一つの数字で答えられない理由がここにあります。
トヨタ自動車の公式案内では、残価保証の走行距離について「各店舗にて定める」としています。
実際、トヨタモビリティ東京では新車の残価設定型プランについて、36回なら36,000km、60回なら60,000kmを基準とし、超過分は1kmにつき5円としています。
新車の査定基準は減点150点以内です。
つまり、メーカー名だけ確認して終わるのでは足りません。
実際に契約する販売会社が出している契約書の条件が、自分に適用される返却条件です。
全国向けの記事や別県の販売店サイトで見つけた数字を、そのまま自分の契約へ当てはめないほうがよいでしょう。
「広告に書いてある距離」と返却条件が同じとは限らない
もう一つ見落としやすいのが、広告上の数字が何を意味しているのかです。
スズキの新車「かえるプラン」では、一定の走行距離以内ならキャッシュバックされる特典があります。
一方、車両を引き取る条件として示されている走行距離は、それとは別です。
つまり、サイトに「3年3万km」「5年5万km」といった数字を見つけても、それが返却可能な走行距離の上限とは限りません。
「残価保証条件」
「車両引取条件」
「追加特典の条件」
を区別して読む必要があります。
これはメーカー比較表だけでは分からない部分です。
傷を直してから返したほうが得とは限らない
返却前に傷を見つけると、「査定で引かれる前に自分で修理しておこう」と考えるかもしれません。
しかし、修理費より返却時の精算額のほうが小さい可能性もあります。
反対に、大きな損傷なら事前に修理したほうがよい場合もあります。
契約満了が近いのであれば、自分の判断だけで高額な修理をするより、まず販売店に車両状態を見てもらい、
そのまま返した場合の精算見込み
修理してから返した場合
を比べたほうが判断しやすくなります。
事故修理の場合は修理内容が修復歴に該当するかどうかも関係するため、なおさら契約先への確認が必要です。
残クレ契約前なら距離より「超えた後」まで聞く
残クレをこれから契約するなら、「年間何kmまでですか?」だけでは十分ではありません。
確認したいのは、その数字を超えた後の扱いです。
同じ60,000kmという基準でも、
60,001kmから1km単位で精算できる契約
一定の精算可能上限まで返却できる契約
残価保証そのものの扱いが変わる契約
では意味が違います。
傷についても同じです。
「何点までなら追加精算なしなのか」「超えた1点はいくらなのか」「事故修復歴になった場合はどう精算するのか」まで聞けば、自分の使い方に残クレが合うか判断できます。
年間走行距離が毎年上限ぎりぎりになる人や、仕事・アウトドアなどで車に傷が付きやすい使い方をする人は、月額の安さだけでなく、この出口条件を先に比較することが重要です。
返却前に確認するのはメーカーサイトではなく自分の契約書
残クレの返却条件は、メーカーによって違います。
しかし、最終的に自分へ適用される条件を決めるのは、ネット上の一般的な説明ではありません。
自分が契約した商品と契約書です。
返却を考え始めたら、
契約時の走行距離条件
返却時の査定基準
超過時の精算方法
事故・修復歴の扱い
を改めて確認します。
特に数年前に契約した車では、現在メーカーサイトに掲載されている条件と、自分が契約した当時の条件が同じとは限りません。
残クレの返却では、「メーカーはどこか」だけでなく、自分の契約で追加精算なしになる境界がどこかを見ることが最も重要です。
走行距離が気になるなら、超えそうな段階で確認します。
→ 走行距離を超えそうならどうする?
傷やへこみがあるなら、修理して返すか確認します。
→ 傷やへこみは修理して返す?
改造している場合は、純正へ戻す必要があるか確認します。
→ 改造車は返却できる?
返却査定が気になるなら、減点と追加精算を確認します。
→ 査定減点はどう決まる?
出典
トヨタ自動車|選べる新車の支払いプラン
トヨタモビリティ東京|いろいろな買い方
Honda|残価設定型クレジット(残クレ)
日産自動車|残価設定型クレジット
SUBARU|SUBARUの残価設定型クレジット
スズキファイナンス|車両お引取りの条件と注意事項
ダイハツ|ワンダフルクレジット
三菱自動車|残価設定型クレジット スーパーマイカープラン
自動車公正取引協議会|中古車の修復歴の表示
