残クレで買い取る予定|最初から通常ローンの方がいい?

「返却するつもりはなく、気に入った車を最後は買い取って長く乗りたい」。

この予定がかなり固まっているなら、まず通常ローンと比較したほうがよいでしょう。

残クレの強みは、将来の車の価値を「残価」として最終回まで残し、契約中の月々の支払いを小さくできることです。

しかし最後に買い取るのであれば、その残価はいずれ自分で支払います。

そのため見るべきなのは「残クレなら月3万円、通常ローンなら月5万円」という契約中の月額差ではありません。

最後の残価まで払ったとき、結局いくら支払うのかです。

なお、この記事でいう「通常ローン」は、残価を最終回に据え置かず、借りた金額を契約期間中に分割して返していく一般的な自動車ローン・自動車クレジットを指します。

買い取るなら残価は「なくなるお金」ではない

残クレでは、車両価格の一部を数年後の車の価値として最終回に残します。

たとえば300万円の車で100万円を残価として設定した場合、契約期間中は主に残りの200万円を分割して支払うため、通常ローンより月額を下げやすくなります。

ただし、車を返さず自分のものにするなら、最後の100万円も支払います。

つまり、

「300万円の車なのに200万円だけ払えば買える」

という仕組みではありません。

残りの100万円を後ろへ移していると考えたほうが分かりやすいでしょう。

金利が低い残クレでも買い取り総額が安いとは限らない

ここが、買い取り予定の人が特に確認したいところです。

「通常ローン6%、残クレ5%なら、残クレのほうが安い」と金利だけで決めることはできません。

残クレでは残価部分を最終回まで据え置きます。

そのため、契約期間中に元金全体を少しずつ減らしていく通常ローンとは、分割払い手数料の付き方が変わります。

実際、TS CUBICが公開している比較例があります。

現金販売価格200万8,000円、頭金10万円、借入相当額190万8,000円という同じ条件で、

残価設定ローン 実質年率5.0%
通常の分割払い 実質年率6.0%

となっています。

金利だけなら残クレのほうが低く見えます。

ところが、最終回の残価52万2,080円まで払って車を買い上げた場合、支払総額の例は、

残価設定ローン 261万1,722円
通常の分割払い 247万6,269円

です。

この例では、残クレのほうが実質年率は低いにもかかわらず、最後まで買い取る支払総額は約13万5,000円多くなっています。

つまり買い取り予定なら、「実質年率が低いほう」ではなく「最終回まで含めた支払総額が低いほう」を確認する必要があります。

一括で残価を払えるなら比較はまだ簡単

残クレ終了時に残価を現金で一括払いできるのであれば、比較は比較的簡単です。

残クレでは、

契約期間中に支払う金額
+ 最終回の残価

を合計します。

通常ローンでは、

完済までの全支払額

を確認します。

この2つを同じ頭金、同じボーナス払い条件、できれば同じ返済期間で比べます。

たとえば残クレの月々が通常ローンより1万5,000円安くても、最終的な支払総額が20万円高ければ、

「20万円多く払ってでも、数年間の月々の支払いを1万5,000円下げたいか」

という選択になります。

ここまで数字にすると、「残クレか通常ローンか」ではなく、自分が何にお金を払っているのかが分かります。

残価も再ローンにする予定なら条件はさらに変わる

「5年後に残価を一括で払うのは難しいから、そのときもう一度ローンを組めばいい」

と考えている場合は、もう一段注意が必要です。

残価を再分割する方法は「再クレジット」などと呼ばれます。

Hondaでは、残価設定型クレジットの終了後に再クレジットを利用できますが、別途審査があり、当初契約と再クレジットを合わせた支払回数にも条件があります。

さらに、再クレジットには当初の残クレと同じ金利がそのまま引き継がれるとは限りません。

再クレジット申込時の実質年率が適用されます。

つまり契約時には、

5年後の金利が何%になるか
そのとき審査に通るか
再分割すると最終的な総額がいくらになるか

を確定できません。

最初から「残価もローンにするつもり」なのであれば、車両価格全体を最初から通常ローンで分割した場合と比較する意味はさらに大きくなります。

買い取り予定なら残価保証の価値も小さくなる

残クレでは、一定の条件を満たして車を返却する場合、契約時に設定した残価が保証される商品があります。

中古車相場が下がっていても、走行距離や車両状態などの条件を満たしていれば、設定した残価で精算できることが残クレの特徴です。

これは「数年後に返却するかもしれない人」には価値があります。

しかし最初から買い取る予定なら、その車を販売店へ返却しません。

残価を自分で支払って乗り続けるので、返却時の価格保証を利用する場面も基本的にはありません。

つまり買い取り前提の人は、残クレが持つ大きな特徴の一つを使わず、月額を下げる仕組みだけを利用することになります。

だからこそ、総支払額との差を確認する必要があります。

走行距離や傷を気にする理由も変わる

残クレでは、走行距離や傷を気にしなければならないと言われます。

これは主に、契約終了時に車を返却して残価保証を利用する場合の問題です。

Hondaでも、乗り換えや返却の場合について走行距離や内外装などの条件を設けています。

一方、残価を払って車を買い取るのであれば、返却しないため、「走りすぎたから残価保証条件を超えた」ということが選択の中心ではなくなります。

ただし、残クレ契約中は所有名義や車の扱いについて条件が付く場合があります。

「どうせ最後に買うから、契約中も完全に自分の車と同じ」と考えず、改造や途中売却を考えている場合は契約条件を確認してください。

それでも残クレを選ぶ意味がある場合

買い取り予定だからといって、残クレをすべて除外する必要はありません。

一つは、残クレだけに特別な低金利キャンペーンが設定されている場合です。

メーカーでは時期や車種によって、残価設定型クレジットを対象に通常より低い実質年率を設定することがあります。

その場合は、通常ローンより残クレの金利がかなり低くなり、総支払額の差が小さくなる、あるいは条件によって結果が変わる可能性があります。

もう一つは、総支払額より現在の月々の支払いを抑えることを優先する場合です。

数年後にまとまった資金が入る予定があり、最終回の残価を現金で払えるのであれば、残クレで支払いを後ろへずらすこと自体に意味を感じる人もいるでしょう。

重要なのは、「残クレだから得」と考えるのではなく、

通常ローンより最終的に何円多く払う可能性があるのかを分かったうえで、その差額と月額の軽さを交換するか

と考えることです。

「残クレのほうが月額が安い」は比較の結論にならない

販売店で残クレと通常ローンの見積もりを出してもらうと、まず目に入るのは毎月の支払いでしょう。

残クレ 月3万円
通常ローン 月5万円

なら、残クレのほうが2万円安く見えます。

しかし買い取り予定なら、ここで比較を終えてはいけません。

残クレには最後の残価があります。

通常ローンはその分も契約期間中に返しているため、月額が高くなっています。

つまり、

残クレは月3万円だから安い

のではなく、

一部の支払いを最終回へ残しているから今の月額が小さい

という違いです。

買い取り前提では、この見方をしておくことが重要です。

契約前に3つの見積もりを並べる

買い取る予定なら、販売店では最低でも次の条件を比較します。

まず「通常ローンで最後まで払った場合」。

次に「残クレを利用し、最終回の残価を現金で払った場合」。

そして残価を現金で準備できない可能性があるなら、「残価を再分割した場合」です。

ただし再クレジットの将来の金利は契約時点で確定できない商品があります。

その場合は、「現在と同じ金利で再分割したらいくら」という試算だけを確定額と思わないことが大切です。

比較表では、

月々の支払額
契約期間中の分割払い手数料
最終回の残価
買い取りまでの支払総額

を確認します。

ボーナス払いを使うなら、その条件も同じにそろえます。

買い取りが決まっているなら通常ローンから検討する

「5年後は分からない。返却するかもしれないし、そのまま乗るかもしれない」という人なら、残クレの選択肢を残しておく価値があります。

一方、

この車は長く乗る
返却するつもりはほぼない
最終的には自分のものにしたい

とすでに決めているなら、考え方は変わります。

まず通常ローンで見積もりを取ります。

そのうえで残クレの買い取り総額を出し、

「残クレにすると月々いくら下がるか」
「その代わり最終的にいくら増えるか」

を比べます。

残クレの総額のほうが高く、その差を払ってまで月額を下げる必要もないのであれば、最初から通常ローンを選ぶほうが仕組みも支払いも単純です。

反対に、残クレ限定の低金利などによって買い取りまで含めても条件がよい、または総額差を承知で当面の月額を下げたいのであれば、買い取り予定でも残クレを選ぶ余地があります。

「買い取るなら残クレはダメ」ではなく、「買い取り予定なら残クレの月額ではなく、買い取り完了までの総額で通常ローンと比べる」。

これが判断の境界です。

地域・販売会社による違い

残価設定額、実質年率、通常クレジットの金利、低金利キャンペーン、再クレジットの条件などは全国一律ではありません。

メーカーが同じでも販売会社や契約時期、車種によって条件が変わる場合があります。

そのため、別地域や過去の広告に掲載された「月々○円」「金利○%」を自分の条件として使わず、実際に購入する販売店で残クレと通常ローンの見積もりを同時に出してもらってください。

出典

TS CUBIC|残価設定ローン(残クレ)の金利は高い?他のローンとの比較や注意点

TS CUBIC|ダイハツ車購入時の残価設定型クレジットとは・通常ローンとの違いと選び方

Hondaファイナンス|残価設定型クレジット計算

Hondaファイナンス|残価設定型クレジットの最終回の支払方法

Hondaファイナンス|残価設定型クレジットの再クレジットの条件

SUBARU|SUBARUの残価設定型クレジット

日産自動車|残価設定型クレジット

トヨタファイナンス|クルマまわりのクレジット