同じ車に長く乗るつもりで、現金一括と残クレのどちらにするか迷っているなら、まず基準にしたいのは現金一括です。
現金で買ったあとにも生活費や急な支出に備えるお金を十分残せるのであれば、同じ販売価格・値引き条件なら、分割払いの手数料がかからない現金一括のほうが支払総額を抑えやすいからです。
ただし、「現金で買える」というだけで決めるのは早い場合もあります。
車を一括購入すると預貯金の大半がなくなってしまうのであれば、多少の手数料を払ってでもお金を手元に残す意味があります。
つまり、長く乗る人の判断基準は「残クレは得か損か」だけではありません。
「車を買ったあと、手元にいくら残るか」と「お金を手元に残すために、残クレでいくら余計に払うのか」を比べて決めます。
残クレで長く乗っても、残価が安くなるわけではない
残クレは、数年後の車の価値として設定した「残価」を、最終回まで支払わずに残しておく方法です。
たとえば5年契約なら、車両価格の一部を最終回に残すことで、最初の5年間の月々の支払額を小さくします。
ここで誤解しやすいのが、「残価分は払わなくていい」というわけではないことです。
5年後に車を返却するなら、契約条件を満たすことで最終回の支払いを車の返却で精算できます。
しかし、同じ車へそのまま乗り続けるなら、最終回支払額を払って車を買い取る必要があります。
一括で払えなければ、再び分割払いにできる商品もあります。
つまり、最初から10年程度乗るつもりなら、「5年間の月額が安いか」ではなく、「最後に車を自分のものにするまでいくら払うか」で比べなければなりません。
長く乗るなら月々の金額ではなく買い取りまでの総額を比べる
販売店では、残クレの「月々○万円」という数字が目に入りやすくなります。
しかし、現金一括との比較でこの数字を使っても意味がありません。
比較する条件をそろえます。
| 比較するもの | 現金一括 | 残クレ |
|---|---|---|
| 車 | 同じ車 | 同じ車 |
| オプション | 同じ | 同じ |
| 値引き・特典 | 実際の条件 | 実際の条件 |
| 比較する金額 | 購入時の支払総額 | 最終回に買い取るまでの支払総額 |
| 最後に車が残るか | 残る | 残価を払えば残る |
残クレでは、頭金、毎月払い、ボーナス払い、分割払いの手数料、最終回支払額まで含めます。
見積書に「買い取り時の支払総額」が記載されているなら、その数字を使うのが分かりやすいでしょう。
現金一括と残クレで値引きやキャンペーン条件が違う場合は、それも反映した実際の見積額で比較します。
同じ販売価格、同じ値引き、同じ諸費用なら、残クレには分割払いの手数料が加わるため、最終的に買い取るまでの支払総額は現金一括より増えるのが基本です。
残クレの月額が安いのは、車そのものが安くなっているからではなく、支払いの一部を将来へ残しているからです。
買い取るなら走行距離や傷は一番の判断材料ではない
残クレの記事では、「走行距離制限がある」「傷を付けられない」という注意点がよく挙げられます。
確かに、契約満了時に車を返却する場合には重要です。メーカーによって走行距離や車両状態などの返却条件が設定されています。
しかし、最初からその車を買い取って長く乗るつもりなら、話が少し変わります。
メーカー各社の残価設定型クレジットでは、車を返却する場合と、最終回支払額を払ってそのまま乗り続ける場合が分けられています。
そのため、買い取り前提の人が最初に確認すべきなのは「年間何キロ走るか」だけではありません。
それよりも、
「最終回にいくら残るのか」
「その金額を現金で払えるのか」
「再び分割払いにすると、さらにいくら手数料が増えるのか」
のほうが重要になります。
もちろん契約内容はメーカーや販売会社によって異なるため、買い取りを選んだ場合にも車両状態に関する条件があるかは契約書で確認してください。
残価保証のメリットも、長く乗る人には小さくなる
残クレには、一定の条件を満たせば契約時に決めた残価で車を引き取ってもらえるという特徴があります。
中古車価格が大きく下がっていても、条件内なら契約時に決めた残価で精算できるため、数年後に返却する人には意味があります。
一方、同じ車を買い取って長く乗る人は、基本的にその残価保証を使って車を返却しません。
むしろ残価は、「数年間払わずに残していた、最後に支払う金額」という意味のほうが大きくなります。
3年や5年で乗り換える可能性が高い人と、10年程度乗ることがほぼ決まっている人では、残クレのメリットそのものが違うわけです。
現金一括を選びやすいのは、払ったあとにもお金が残る人
同じ車へ長く乗ることが決まっていて、現金一括で払っても必要な預貯金を残せるなら、現金一括は非常に分かりやすい選択です。
購入時にまとまったお金は減りますが、その後に車両代の返済はありません。
残価をいつ払うか考える必要もなく、再度ローンを申し込む必要もありません。
特に「残クレで買って5年後も乗り続ける予定」という人は、一度考えてみる必要があります。
最初から買い取ることがほぼ決まっているのなら、残クレで得ている大きなメリットは「今、現金を手元に残せること」です。
そのために払う分割払いの手数料が、自分にとって納得できる金額なのかを確認します。
現金を払うと預貯金が大きく減るなら判断は変わる
一方、車を現金一括で買うと、生活費や急な支出に使うためのお金まで大きく減ってしまうのであれば、支払総額だけで現金一括を選ぶ必要はありません。
お金を手元に残しておくことにも価値があるからです。
この場合、残クレで増える支払額は「現金を数年間手元に残すための費用」と考えると比較しやすくなります。
ただし、ここで注意したいのが最終回です。
残クレを使って現金を手元に残したのに、そのお金を別のことに使い切り、最終回の残価を払えなくなれば、もう一度分割払いを利用することになります。
再分割では、新しく申し込む時点の金利や手数料率が適用される商品があります。再度の審査が必要となるメーカーもあります。
長く乗ることが決まっているなら、「5年後はそのとき考える」ではなく、契約時から最終回支払額をどう用意するかまで決めておく必要があります。
最終回も再分割する前提なら、残クレ以外も比べたい
「現金一括は厳しい。残クレなら月々払える。でも最終回の残価も現金では払えない」という場合は、残クレと現金一括の二択だけで決めないほうがよいでしょう。
残クレの契約終了後に再び分割払いをすると、支払期間がさらに延びます。
最初から一台へ長く乗ることが決まっているのであれば、通常の自動車ローンや銀行のマイカーローンも含め、「最後まで返済した総額」を比べる余地があります。
残クレの最大の特徴である数年後の返却・乗り換えという選択肢をほとんど使わない人ほど、月額の安さだけで残クレを選ばないことが重要です。
自分の見積書ではこの2つを出してもらう
販売店では、同じ車、同じオプションで次の2つの見積もりを出してもらうと判断しやすくなります。
「現金一括で購入した場合の支払総額」
「残クレを利用し、契約終了時に返却せず買い取った場合の支払総額」
残クレについては、最終回支払額も別に確認します。
販売員には、
「この車は返却せず、そのまま長く乗る予定です。最後に買い取る前提の総支払額と、現金一括の支払総額を同じ条件で比べたいです」
と伝えれば、月々の支払額だけで比較してしまうのを避けられます。
金利、残価、返却条件、支払回数、キャンペーンなどはメーカー、車種、販売会社、契約時期によって異なります。
全国共通の残価率や金利を前提にせず、自分が契約する見積書の数字で判断してください。
まとめ|長く乗るなら「残価」ではなく最後まで払う金額を見る
同じ車へ長く乗り続けるなら、現金一括と残クレの比較で最も重要なのは月々の支払額ではありません。
現金一括で買った場合の金額と、残クレで最終的に車を買い取った場合の総支払額を比べます。
現金一括で購入しても必要なお金を十分残せるなら、分割払いの手数料がかからない現金一括を基準に考えやすくなります。
反対に、現金一括によって必要な手元資金までなくなるなら、お金を残すために残クレを使う意味はあります。
その場合も、契約時点で「最終回支払額をどう用意するか」まで決めておくことが重要です。
長く乗る人にとって残クレの判断基準は、「月々いくらなら払えるか」ではありません。
「現金を手元に残すために、買い取りまでの総額でいくら余分に払うのか。その金額に自分は納得できるか」です。
出典
Honda|残価設定型クレジット(残クレ)
トヨタ自動車|残価設定型プランに関するFAQ
日産フィナンシャルサービス|残価設定型クレジット 最終回到来後も乗り続ける場合のFAQ
スズキ|残価設定クレジット「かえるプラン」
トヨタファイナンス|クルマまわりのクレジット
