残クレと銀行ローンで迷う|5年後に車を乗り換えるならどっち?

「5年後には今の車を手放して、新しい車へ乗り換える」と決めているなら、残価設定型クレジット、いわゆる残クレが向いているように見えます。

実際、残クレは3年や5年での乗り換えを想定した仕組みです。ただし、5年後に乗り換えるだけで残クレを選ぶと、判断材料が一つ足りません。

重要なのは、5年後の車を販売店へ返却するのか、それとも自分で売却して車の価値を次の購入資金にするのかです。

残クレは、将来の車の価値が下がったときの不安を抑えやすい代わりに、走行距離や車両状態などの返却条件があります。

銀行のマイカーローンは5年後の価格保証はありませんが、車を自分で所有する商品なら、買取店を含めて売却先を選び、その時点の車の価値を自分で回収できます。

そのため、5年後に乗り換える予定だけでは、まだどちらが合うかは決まりません。

5年後に「返却する」のか「売る」のかで考える

残クレでは、車両価格の一部を「5年後にも残っていると想定する価値」として最後まで据え置きます。

契約終了時に条件を満たした車を返却すれば、この最後に据え置いた金額を支払わずに契約を終えられる商品があります。

そのため、「5年間乗ったら販売店に返して、そこで次の車へ乗り換える」と考えている人には使いやすい仕組みです。トヨタやHondaでも、契約終了時に乗り換え、返却、買い上げといった選択肢を用意しています。

銀行ローンは考え方が違います。

銀行から車の購入資金を借り、通常のローンとして返済していきます。購入した時点から本人が所有者になる銀行商品もあり、ローン返済後の車には売却価値が残ります。

つまり5年後には、「車を返して終わる」のではなく、「自分の車をいくらで売るか」という判断ができます。

5年後に必ず乗り換える人でも、ここで選択が分かれます。

販売店への返却まで含めて簡単に終わらせたいなら残クレが候補になります。

一方、5年後に複数の買取店や次に買う販売店を比較し、少しでも高く車を売って次の頭金にしたいなら、銀行ローンの自由度が生きてきます。

「総支払額」だけを比べると5年乗り換えでは判断を間違えやすい

残クレと銀行ローンを比べる記事では、「銀行ローンのほうが金利が低く、総支払額を抑えやすい」と説明されることがあります。

これは車を最後まで自分のものにする比較なら重要です。

しかし5年後に手放す予定なら、銀行ローンで支払い終えた車にはまだ価値があります。

そのため、本当に比較したいのは次の金額です。

残クレの場合

5年間に支払う金額
+ 返却時に必要となる精算金
- 乗り換え時に受け取れる差額があればその金額

銀行ローンの場合

5年間に支払う金額
+ 5年時点でまだ残っているローン残高
- 5年後の車の売却価格

銀行ローンも5年返済なら、5年後のローン残高は基本的にありません。

一方、7年や10年で借りて5年後に乗り換えるなら、まだ借入残高があります。売却価格だけを見ず、「売却代金から残っているローンを返したあと、いくら残るか」まで確認する必要があります。

ここまでそろえて初めて、5年間で実際にいくら負担するのかを比べられます。

残クレの強みは「5年後の価格が下がっても一定額を保証してもらえること」

残クレの残価保証には、単に月額を安くする以外の意味があります。

5年後、中古車相場が想定以上に下がっていても、契約で定めた条件を満たしていれば、設定した残価で返却できる商品があります。

これは5年後の中古車価格下落リスクの一部を、販売会社側に移す仕組みと考えると分かりやすいでしょう。

Hondaは所定の条件を満たせば買取額である残価を原則維持すると案内しており、トヨタも残価保証条件を満たした車について返却時の残価を保証する仕組みを案内しています。

銀行ローンには、この保証は基本的にありません。

5年後に中古車価格が大きく下がれば、その低い価格で売ることになります。

逆に、市場価格が想定以上に高ければ、その高い価格で売れるのも銀行ローン側です。

したがって、将来の中古車相場について、下落リスクを減らしたいのか、市場価格の上昇も自分で取りに行きたいのかも判断材料になります。

ただし「残クレなら高くなった分を捨てる」とは限らない

ここは残クレを一括りにしてはいけないところです。

残価が150万円に設定されていて、5年後の実際の査定価格が180万円になったとします。

残クレでは150万円で返却して終わり、30万円分はすべて利用者には関係ないと思われがちです。

しかし商品によって扱いが違います。

SUBARUは、査定額が残っている支払額を上回った場合、その差額を次の車の頭金として利用できると案内しています。マツダも、下取り額が残価額を上回った場合、その差額を次の新車購入代金へ充てられると説明しています。

そのため契約前には、「5年後の査定額が設定残価を上回った場合、その差額はどうなるのか」を確認しておく必要があります。

ここが銀行ローンとの比較で見落とされやすいポイントです。

走行距離が多いなら「残クレは追加料金、銀行ローンは無料」ではない

残クレでは、返却時の走行距離や車両状態に条件があります。

たとえばHondaの残価設定型クレジットでは、月間走行距離1,000キロまたは1,500キロといった契約条件があり、返却時の内外装についても基準があります。条件を超えた場合には超過走行や車両状態に応じた負担が発生します。

ただし、銀行ローンなら走行距離が多くても何も損をしないわけではありません。

銀行との契約上の超過料金はなくても、5年後に車を売るとき、走行距離が多ければ査定価格が下がる可能性があります。

傷や事故歴も同じです。

残クレでは残価保証条件から外れ、精算が必要になる可能性があります。

銀行ローンでは販売会社への精算金はありませんが、車そのものの売却価格が下がる可能性があります。

つまり、

残クレは「契約条件によって負担が決まる」

銀行ローンは「中古車市場の査定によって損失が決まる」

という違いです。

年間走行距離が読みにくい人や、5年間でかなり距離を走る可能性がある人は、残クレの返却条件を特に確認したほうがよいでしょう。

5年後に別メーカーへ乗り換える可能性があるなら銀行ローンの自由度も見る

残クレの「乗り換え」は、契約した販売店で次の車へ乗り換えることを前提とする商品があります。

トヨタも残価設定型プランについて、契約終了時の選択肢として「同じ販売店で新しい車へ乗り換え」を案内しています。

5年後も同じメーカーから選ぶつもりなら、大きな問題にならないでしょう。

しかし5年後には別メーカーの車が欲しくなるかもしれない、電気自動車へ替えるかもしれない、中古車を選ぶかもしれないという人は、売却先と次の購入先を切り離せる銀行ローンのほうが動きやすい場合があります。

残クレでも途中精算や買い取り後の売却などが可能な商品はありますが、手続きや条件は契約ごとに異なります。

「5年後に乗り換える」だけでなく、「どこで何に乗り換えるかまで決めているか」を考えておく必要があります。

金利は「銀行のほうが安い」と決めつけず実際の見積書で比べる

一般には金融機関のマイカーローンのほうが低金利になりやすいとされていますが、メーカー側が期間限定の低金利キャンペーンを実施することがあります。

そのため、「銀行だから安い」「残クレだから高い」という一般論だけでは決められません。

比較するときは、同じ車、同じ頭金、同じ5年間という条件で、銀行ローンと残クレの実際の見積書を並べる必要があります。

特に残クレでは、月々の金額だけを比べないことが重要です。

最終回に据え置かれる残価、5年間の分割払い手数料、返却条件、5年後に査定額が残価を上回った場合の扱いまで確認します。

銀行ローンでは、5年後までの返済総額と、その時点で残るローン残高を確認します。

ここまで数字をそろえれば、「月々安いほう」ではなく、「5年間乗って手放すまでにいくら使うか」で比較できます。

5年後に乗り換えるならこう判断する

5年後に乗り換えることがほぼ決まっており、走行距離も契約範囲に収まりそうで、車の市場価格が下落するリスクをあまり負いたくない。

さらに、契約した販売店で次の車へ乗り換える予定なら、残クレの仕組みと相性があります。

一方、月々の返済額に多少余裕があり、5年後には複数の買取店を比較して高く売りたい、別メーカーも自由に選びたい、走行距離を気にせず乗りたいのであれば、銀行ローンを比較する意味が大きくなります。

そして最も重要なのは、5年後の査定価格です。

残クレは、一定条件のもとで将来価格の下落に備えられる仕組みです。

銀行ローンは、将来価格が下がるリスクを自分で負う一方、高く売れたときの価値も自分で回収できます。

ただし残クレでも査定額と残価との差額を次の車に使える商品があります。

したがって契約直前に確認したいのは、「5年後に乗り換えるか」だけではありません。

5年後の車を誰に売るつもりなのか。残価より高く売れた場合の差額は誰のものになるのか。残価保証条件を5年間守れそうか。

この3点まで確認してから、残クレと銀行ローンを比較するのが現実的です。

地域や販売店による違い

残クレや銀行ローンは、全国一律の条件で決まる制度ではありません。

メーカーが同じでも、契約期間、残価、返却条件、分割払い手数料などが販売会社によって異なる場合があります。トヨタも契約期間などが販売店によって異なると案内しています。

銀行ローンも金融機関によって金利、利用条件、返済期間が異なります。

そのため、全国向けの記事で「残クレは何%」「銀行ローンは何%」と固定して判断するのではなく、自分が購入する販売店と利用可能な金融機関の見積りを同じ条件で比較してください。

出典

トヨタ自動車|残価設定型プランに関するFAQ

Honda|残価設定型クレジット(残クレ)

SUBARU|SUBARUの残価設定型クレジット

マツダ|残価設定型クレジットのデメリットと賢い利用法

七十七銀行|77マイカーローン

常陽銀行|マイカーローン