残クレの支払いが1回遅れたからといって、その日に車を取り上げられるわけではありません。
口座残高が足りず引き落とせなかった場合は、まず契約している信販会社が指定する方法で未払い分を支払います。
ただし、「すぐ車を取られないなら来月まで待てばいい」と考えるのは危険です。
支払日を過ぎれば遅延損害金が発生する契約があります。未払いを続ければ、信用情報への影響だけでなく、残っている支払いの一括請求や契約終了、所有権が販売会社などに残っている車なら返還を求められる段階へ進む可能性があります。
大切なのは「何日までなら大丈夫か」を探すことではありません。
引き落としできなかったと分かった時点で、自分の契約会社が指定する支払い方法を確認することです。
1回引き落とせなかっただけで車をすぐ取られるわけではない
例えば口座へ入金するのを忘れていた、給与振込とのタイミングがずれたなど、一度だけ引き落としに失敗することはあります。
メーカー系金融会社も、このような場合の支払方法を用意しています。
トヨタファイナンスでは、引き落としできなかった場合、SMSやメール、郵便物などで案内された方法に従って支払います。
Hondaファイナンスでは、毎月5日の引き落としができなかった場合、再引き落としは行わず、銀行振込またはコンビニで支払う仕組みです。
スズキファイナンスも再引き落としを行わず、送られてくる案内に従って振り込みます。
つまり、「残高不足に気付いたので口座へ入れておけば自動的にもう一度引き落としてくれる」とは限りません。
会社によって処理が違うため、自己判断せず契約会社の案内を確認します。
支払いが遅れた時点で遅延損害金が発生することがある
引き落としができなかった場合、本来の支払額だけ入金すれば必ず終わるとも限りません。
契約に基づいて遅延損害金が発生する場合があります。
トヨタファイナンスも、自動車クレジットの引き落としができなかった場合には、会員規約に基づく遅延損害金が別途発生すると案内しています。
具体的な計算方法や利率は契約によって異なるため、ネットで見つけた別会社の数字を自分の残クレへ当てはめないほうがよいでしょう。
支払案内に記載された金額を確認します。
「再引き落としまで待つ」は危険
支払いに遅れたときに最初に確認したいのは、
「再引き落としはいつですか」
ではありません。
「今回はどうやって払えばいいですか」です。
Hondaやスズキのように、そもそも再引き落としをしない会社があります。
反対に、トヨタファイナンスでは契約状況によって再引き落としの案内が届く場合があります。
残クレ全体に共通する再引き落とし日はありません。
契約会社から届いたSMS、メール、郵便物、契約者向けサイトを確認してください。
不審なSMSから支払うのではなく、公式サイトや契約書に記載された窓口から確認するのが安全です。
信用情報は「61日までは何も起こらない」ではない
支払いが遅れたとき、「何日で信用情報に傷が付くのか」が気になる人もいるでしょう。
ここでは二つを分ける必要があります。
CICという指定信用情報機関では、クレジットやローンの契約内容だけでなく、毎月の支払状況、入金額、残高なども信用情報として登録・更新されています。
その一方、CICが統計上「異動情報」と呼んでいる長期延滞は、約束した返済日から61日以上または3か月以上支払いが遅れている状態です。
したがって、
「61日未満なら信用情報には何も残らない」
という意味ではありません。
逆に、一度引き落としに失敗しただけで、その瞬間に長期延滞を示す「異動」になるわけでもありません。
また、支払いの遅れが登録された場合に新しいローンやクレジットカードを利用できるかは、信用情報機関が決めるものではありません。
各金融会社が自社の審査基準で判断します。
法律上の「20日以上」も支払いを待ってよい期間ではない
ネットでは「20日」「2か月」「3か月」など、さまざまな数字を見かけます。
このうち20日という数字には、割賦販売法上のルールがあります。
割賦販売法の対象となる一般的な個人向けクレジットでは、支払いが遅れたことを理由に契約を解除したり、まだ支払日の来ていない残額まで一括請求したりする場合、原則として20日以上の相当な期間を定めて支払いを求め、それでも払われなかったことが必要です。
ここでいう一括請求は、分割で払える権利を失い、残りをまとめて払うよう求められることです。
ただし、この20日は「20日以内なら延滞していても問題ない」という意味ではありません。
支払日はすでに過ぎています。
遅延損害金や督促、支払状況への影響は別の問題です。
契約形態によって適用関係も異なるため、「あと○日ある」と待つための数字として使わないでください。
督促後も払わないと残りを一括請求される可能性がある
残クレは、毎月決められた金額を支払うことを前提に、残価を最終回へ残している契約です。
支払いが長期間行われず、正式な催告を受けても未払いの状態が続けば、「期限の利益」を失う可能性があります。
期限の利益とは、簡単にいえば、
「残りの代金を一度に払わず、契約どおり分割で払ってよい権利」
です。
これを失うと、これから先の通常月分だけではなく、契約内容によっては最終回に残していた残価を含めた残額についても一括精算が問題になります。
「今月分だけ払えていない」という状態から、数百万円単位の残額を一括で求められる状態へ変わる可能性があるわけです。
だからこそ、督促を無視して長期間放置しないことが重要です。
延滞が続くと車はどうなる?
残クレで購入した車は、契約中の所有者が自分ではなく、販売会社や信販会社などになっていることがあります。
この仕組みを「所有権留保」といいます。
代金を完済するまで、車そのものを支払いの担保として販売会社などが所有している形です。
トヨタファイナンスも、自動車クレジット契約中は、完済するまで販売会社が車の所有権を担保として留保すると説明しています。
そのため、未払いを長期間放置し、契約解除や残額一括請求の段階まで進めば、所有権が留保されている車について返還を求められる可能性があります。
ただし、
「1回遅れたら回収」
「1か月で必ず回収」
「3か月なら必ず回収」
という全国共通の日数はありません。
契約内容、支払状況、催告の経過などによって異なります。
車を返せば残クレの残りが全部消えるとも限らない
支払いが苦しくなると、
「車を返せばローンも終わるのでは」
と考えるかもしれません。
契約満了時に条件を満たして車を返却する通常の残クレと、延滞などによって契約途中で終了する場合は別です。
日本自動車購入協会も、残価設定型クレジットを途中で解約して車を返却しても、残債などの支払いが免除されるわけではないと案内しています。
車の査定額と残っている債務を精算し、不足があれば追加の支払いが必要になる可能性があります。
したがって、
「払えないから車だけ返して終わり」
とは自己判断しないでください。
販売店または契約している信販会社に、残債と車両返却時の精算方法を確認します。
すでに今日の引き落としに失敗したなら何をする?
残高不足に気付いた段階なら、まず口座へお金を入れるだけで終わらせず、契約会社の支払方法を確認します。
契約者向けサイト、公式FAQ、契約書、公式窓口の順に確認するとよいでしょう。
すでにSMSや振込用紙が届いているなら、そこに書かれた支払期限と金額を確認します。
今すぐ払えるのであれば、指定された方法で支払います。
まだ支払案内が届いていない場合も、再引き落としがあると思い込まず、公式窓口へ確認します。
Hondaのように引き落とし結果の確認自体に数営業日かかり、その後SMSなどを送る会社もあります。
二重払いにならないよう、勝手な口座へ振り込まず正式な案内を確認してください。
今回分を払えないなら連絡を放置しない
問題が大きくなるのは、
「今は払えないから電話にも出ない」
「郵便物を開けない」
という状態です。
今月分をすぐ用意できない場合は、支払日前後の早い段階で契約会社へ相談します。
ただし、相談すれば必ず支払日を延ばしてもらえる、月額を下げてもらえる、という意味ではありません。
対応できる内容は契約会社によって異なります。
支払いが難しい理由と、いつならいくら支払えるのかを伝え、契約会社から提示される方法を確認します。
前の記事で扱ったように、会社によっては支払プランを変更できる契約もあれば、月額変更や一部繰上返済ができない契約もあります。
今後も毎月払えそうにないなら車を維持するかまで考える
今回だけ口座への入金を忘れたのであれば、未払い分を支払えば、その後は通常の契約へ戻れます。
しかし、
収入が減った
ボーナスがなくなった
毎月の支払いがすでに家計を圧迫している
という状態なら、今回分だけ何とか払っても翌月また同じ問題が起こる可能性があります。
その場合は、「延滞を解消する」だけでは足りません。
現在の残債
残価を含めた途中一括返済額
現在の車の査定額
契約途中で支払プランを変更できるか
を確認し、残クレを続けるか、精算して車を手放すかまで考えます。
所有権が販売会社などに残っている車は、残クレを払い続けながら自分の判断だけで自由に売却できません。
売却する場合も、残債を確認して所有権解除を含む精算手続きが必要です。
まとめ|車が取られる日数ではなく、今どの段階かを確認する
残クレの支払いが1回遅れたからといって、その日に車を回収されるわけではありません。
まずは契約会社から案内される方法で未払い分を支払います。
ただし、支払日を過ぎた時点から遅延損害金が発生する契約があります。
毎月の支払状況は信用情報にも関係し、長期の延滞になれば影響はさらに大きくなります。
そして督促や正式な催告を受けても支払わずに放置すれば、分割払いを続ける権利を失い、残価を含む残額の一括請求や契約終了へ進む可能性があります。
所有権が販売会社などに残っている車なら、さらに車両返還の問題も出てきます。
重要なのは、
「何日ならセーフか」
ではありません。
引き落とせなかったと分かった時点なら、まだ確認すべきことはシンプルです。
契約会社の正式な案内を確認し、指定された金額を指定された方法で支払う。
今後も払えそうにないのであれば、次回の引き落としを待たず、契約会社へ相談して残クレそのものをどうするか考える。
この2つを分けて対応してください。
出典
トヨタファイナンス|自動車クレジット(ローン)の引き落としができませんでした。どうすればよいですか?
Hondaファイナンス|口座から引落ができていなかったのですが、どうすればいいですか?
スズキファイナンス|クレジットをご契約いただいている方へ
経済産業省|割賦販売法
経済産業省|割賦販売法(後払信用)の概要
CIC|割賦販売統計データ
CIC|信用情報 早わかり!
CIC|支払いの遅れた事実が信用情報に登録されていると、クレジットを利用できませんか?
トヨタファイナンス|所有権留保とはなんですか?
一般社団法人日本自動車購入協会|ローンや残価設定型クレジット返済中の車を手放すことはできるの?
