残クレを契約途中で一括返済したあと、
「もともとの満期になったら、契約時の残価保証を使って車を返せるのでは?」
と思うかもしれません。
主要メーカー系の残価設定型クレジットを確認すると、基本的にはこの考え方ではありません。
早期一括返済では、月々の残りだけでなく最終回に据え置いた残価も含めて精算し、残クレ契約を前倒しで完済します。
そのため、その後に車を手放す場合は、元の残クレの残価保証で「返却」するのではなく、自分の車を販売店へ下取りに出す、または買取店へ売却するという扱いになります。
まだ一括返済していないのであれば、将来返却する可能性があるかを決めてから手続きしたほうがよいでしょう。
一括返済では最終回の残価も一緒に払う
残クレの見積書では、
毎月の支払い
ボーナス払い
最終回の残価
が分かれています。
早期一括返済というと、残っている月々の支払いだけを先に払うように見えますが、そうではありません。
残クレを途中で完全に終わらせるなら、最終回に据え置いている残価も含めて精算します。
たとえば、
残っている分割部分 80万円
最終回の残価 120万円
という状態でも、「80万円だけ払って残価120万円は5年後まで残す」というのは早期一括返済ではありません。
一括返済額は金融会社所定の計算によるため単純な足し算とは限りませんが、残価部分まで含めて契約を完済する点が重要です。
残価保証は「車の値段を永久に保証する制度」ではない
残価保証を、
「この車は将来150万円で買い取ってもらえる保証」
と考えると、一括返済後にも使えそうに見えます。
しかし、残価保証は残クレ契約の最終回と組み合わされた仕組みです。
契約どおり最終回まで進み、所定の走行距離や車両状態などの条件を満たして車を返却することで、最終回の残価を支払わず精算できます。
つまり、
車そのものに150万円の永久保証が付いている
のではなく、
契約満了時に所定条件で返却すれば、150万円の最終回支払いに充てられる
という仕組みです。
ここを分けて考える必要があります。
三菱では買取保証特約は「最終回支払い時点」と明記されている
この違いを分かりやすく示しているのが三菱自動車ファイナンスです。
残価設定型クレジットでは、契約途中でも残価を含めた残金全額を早期一括完済できます。
ただし、その際に車を返却して最終回支払額へ充てることはできないと明記されています。
さらに、途中で別の車へ乗り換える場合についても、買取保証特約は「最終回お支払い時点での特約」と説明されています。
それ以前に乗り換えるなら、通常の販売会社による下取り価格になります。
つまり、
残価保証額
と
途中で実際に売れる金額
は別です。
ホンダも早期一括返済すると「完済」になる
ホンダでは、早期一括返済を「残りの金額を一括精算することにより前倒して完済する」方法としています。
残クレの通常の最終回なら、
車両返却
残価を一括払い
残価を再分割
という選択があります。
しかし早期一括返済をすれば、その最終回を待たず残価を含む契約を完済することになります。
ホンダファイナンスでは普通車について、早期一括返済後に支払い完了を確認すると、名義変更、つまり所有権解除に必要な書類を送る手続きも用意しています。
これは、残クレ契約を残したまま将来の返却を待つ状態とは違います。
一括返済後に販売店へ車を持っていくこと自体はできる
では、一括返済したら販売店にはもう返せないのでしょうか。
車を手放すこと自体はできます。
ただし、それは残クレの残価保証による「返却」ではなく、通常の下取り・買い取りと考えます。
たとえば契約時の残価が150万円だったとしても、一括返済後に市場価格が120万円なら、必ず150万円で引き取ってもらえるとは考えません。
反対に中古車相場が高く、180万円で売れることもあります。
一括返済後は、元の残価ではなく、その時点で車がいくらで売れるのかを比較することになります。
一括返済しても車検証の所有者がすぐ自分になるとは限らない
早期一括返済した直後は、支払いは終わっていても車検証上の所有者が販売会社や金融会社のままの場合があります。
その場合は所有権解除の手続きが必要です。
たとえばホンダファイナンスでは、早期一括返済の入金を確認した後、所有権解除に必要な書類を送る手続きを案内しています。
一括返済後すぐに買取店へ売却したい場合は、
完済が確認されているか
所有権解除に必要な書類はいつ届くか
買取店側で手続きを代行できるか
を確認しておくと進めやすくなります。
まだ一括返済していないなら「将来返すか」で判断する
これから一括返済しようとしている人は、先に一つ決めておきたいことがあります。
その車を最終的に手元へ残したいのか、それとも契約満了時に返す可能性があるのかです。
長く乗ることが決まっていて、残価も含めて払えるのであれば、早期一括返済を検討できます。
一方、
3年後や5年後には返したい
中古車相場が下がったときに残価保証を使いたい
満期時まで返却するか買い取るか決めたくない
というのであれば、残クレを完済してしまう前に販売店・金融会社へ確認したほうがよいでしょう。
残価保証を使うことが目的なら、契約を満期まで残しておく意味があります。
「月々を早く減らしたい」だけなら一部繰り上げ返済という違う方法もある
一括返済を考えている理由が、
「まとまったお金ができたので、毎月の負担を減らしたい」
ということであれば、全額完済以外の方法がある商品もあります。
ホンダの残クレでは、一部繰り上げ返済をしても、
返却
再クレジット
買い取り
という最終回の特約が維持されます。
契約期間もそのままで、最終回前月までの月額を軽減できます。
トヨタ系の残価設定型クレジットにも一部繰り上げ返済があり、最終回の残価を変更せず、月々の支払いを下げられる仕組みがあります。
つまり、
残価保証を残したい
でも毎月の支払いは軽くしたい
という目的なら、一部繰り上げ返済のほうが合う可能性があります。
ただし、一部繰り上げ返済ができるかは契約会社によって違います。
一部繰り上げと一括返済は結果がまったく違う
この2つは名前が似ていますが、残価保証を考えるうえでは大きな違いがあります。
| 方法 | 契約 | 月々 | 最終回 | 返却選択 |
|---|---|---|---|---|
| 一部繰り上げ返済 | 継続 | 下がる商品あり | 残る | 維持される商品あり |
| 早期一括返済 | 終了 | なくなる | 残価も含め精算 | 元の最終回は来ない |
特に「返却できる選択肢を残したい」という人は、手続き名だけを見ず、一括完済後に最終回特約がどうなるか確認する必要があります。
すでに一括返済したなら残価ではなく査定額を確認する
すでに早期一括返済を終えている場合は、元の残価保証額と現在の車の市場価値を分けて考えます。
まず完済・所有権解除の状況を確認します。
そのうえで、
購入した販売店の下取り額
メーカー系中古車店の査定額
一般の車買取店の査定額
などを比較します。
残価150万円だった車が現在200万円で売れるのであれば、残価保証に戻る必要はありません。
反対に現在の査定が100万円でも、一括返済して契約が終了しているなら、元の150万円の残価保証を後から使えるとは考えないほうがよいでしょう。
一括返済前なら「返却」と「完済」の2通りを販売店に出してもらう
まだ手続きしていない段階なら、販売店には2つの金額を確認すると判断しやすくなります。
一つは、
今すぐ早期一括返済する場合の完済額。
もう一つは、
契約満了まで支払いを続けて車を返却する場合の今後の支払額です。
そのうえで、
一括返済して車を所有する
残クレを維持して満期時に返却する
のどちらが目的に合うかを決めます。
「一括返済したほうが利息が減る」という理由だけで決めると、残価保証という別の選択肢を手放すことになります。
利息差と返却保証のどちらを重視するかまで比べる必要があります。
「一括返済してから返却」は二重に処理する必要がない
車を返すことが最初から決まっているのであれば、
残クレを一括返済する
↓
その後に車を返却する
という2段階にする意味は通常ありません。
一括返済では残価まで自分で支払います。
その直後に車を販売店へ渡すのであれば、自分で買い取った車をもう一度販売店へ売る形になるからです。
満期時に残価保証を使って返すことが目的なら、契約を維持して最終回に「返却」を選択する方法を先に確認します。
途中で手放したいのであれば、一括返済してから売る方法だけでなく、現在の査定額を使って中途精算する方法も販売店へ確認します。
残価保証を残したいなら完済前に確認する
残クレの早期一括返済は、単に数年分の月払いを先払いする手続きではありません。
残価まで含めて契約を完済する手続きです。
そのため主要メーカー系の公式情報を見る限り、
「今は残価まで一括で払っておく。でも満期になったら契約時の残価保証で返したい」
という使い方は前提になっていません。
将来返却する可能性があるのであれば、早期一括返済を申し込む前に、
一括返済すると返却特約は終了するか
一部繰り上げ返済なら返却特約を残せるか
満期まで維持した場合の残り支払額はいくらか
を契約先へ確認してください。
すでに完済しているのであれば、残価保証へ戻すことではなく、所有権解除を済ませて現在の査定価格で売却先を比較するのが次の行動になります。
地域・契約による違い
残価保証、早期一括返済、一部繰り上げ返済、所有権解除などの条件は、メーカー、金融会社、販売会社、契約商品、契約時期によって異なります。
特に残価保証については、自分が契約した際の特約書が基準です。
現在のメーカーサイトに掲載されている条件だけで判断せず、自分の契約について「一括返済した場合に最終回の返却特約がどうなるか」を販売店または金融会社へ確認してください。
