残クレで走行距離が多い|返却と売却どっちを選ぶ?

残クレで予定より走行距離が増えたとき、「このままディーラーへ返すより、買取店へ売ったほうが得なのでは?」と迷うことがあります。

結論からいうと、走行距離が多いだけでは決まりません。

比べるのは、

返却した場合に追加で払う金額

と、

売却価格から残クレの精算額を引いたあとに残る金額

です。

特に、走行距離は多いもののまだ契約基準内なのか、すでに超えているのかで判断が変わります。

走行距離が多くても基準内なら返却が不利とは限らない

まず確認したいのは、本当に契約走行距離を超えているかです。

残クレでは、月1,000kmなどと表示されていても、実際の返却判定では契約期間全体の累計距離を見る商品があります。

たとえば5年・月1,000kmなら60,000kmという考え方です。

57,000km走っていて「かなり走った」と感じても、60,000km以内なら距離については契約条件内です。

この場合、所定の傷や事故などの条件も満たしていれば、残価保証を使って返却できる可能性があります。

一方、買取店へ売却すれば、走行距離が多いことは中古車としての査定材料になります。

つまり、

「距離が多いから売却」

ではありません。

契約距離以内なら、まず保証された残価と現在の買取価格を比べる必要があります。

契約距離を超えたら返却には追加精算が出る

契約走行距離を超えている場合は、返却時に追加精算が必要になる商品があります。

たとえばホンダでは、車種によって超過1kmにつき5~10円です。

スズキでは、3年なら40,000km、5年なら60,000kmなどの基準を超えると1kmにつき5円です。

トヨタでも販売会社ごとに条件が異なりますが、トヨタモビリティ東京では超過1kmにつき5円としています。

仮に10,000km超過し、契約単価が5円なら、

10,000km×5円=50,000円

です。

この5万円だけを見て「高いから売ろう」と決めるのはまだ早いでしょう。

売却側でも多走行によって査定額が下がる可能性があるからです。

売却では「距離超過料金」ではなく査定価格に影響する

買取店へ売却する場合、ディーラー返却時の「1kmにつき5円」と同じ形で請求されるとは限りません。

中古車として現在いくらで買い取れるかという査定になります。

そのため、距離をかなり走っていても人気車や中古車需要の強い車なら高い査定が出ることがあります。

反対に、多走行による価格低下が大きければ、返却時の超過料金を払ったほうが負担が小さいこともあります。

なお、残クレ契約そのものについて別途精算金などが必要な場合があります。

「買取店に売れば距離超過の負担は必ずゼロ」とは考えず、契約金融会社にも精算条件を確認してください。

返却と売却はこの2つの数字で比べる

返却では、

返却時の走行距離精算
+傷やへこみの精算
+事故などがあればその精算

を確認します。

売却では、

買取店の査定額
-残クレを終了するための一括精算額
-その他契約上必要な精算金

を確認します。

査定額のほうが高ければ、その差額が残る可能性があります。

精算額のほうが高ければ、不足分を自分で支払う必要があります。

つまり比較するのは、

「ディーラーの残価」と「買取価格」

だけではありません。

返却後の持ち出し額と、売却後の持ち出し額または手残り額を比べます。

たとえば1万km超過ならこう比べる

仮に満期時の条件を次のようにします。

残クレの最終回 150万円
走行距離 基準より10,000km超過
距離精算 1km5円
傷などの追加精算 なし

返却するなら、距離の精算は5万円です。

このとき買取店の査定が165万円で、契約を終了するための精算額が150万円、ほかに費用がないとすれば、

165万円-150万円=15万円

が残ります。

この例なら、

返却 5万円支払い
売却 15万円残る

となり、差は20万円です。

反対に買取査定が130万円なら、

150万円-130万円=20万円

の不足です。

返却なら5万円で済むため、この条件では返却のほうが負担は小さくなります。

このように、走行距離の超過量だけでは答えは出ません。

日産は「少し超えた」と「大幅に超えた」を分けて考える

日産の残価設定型クレジットでは、走行距離に「免責基準」と「精算可能上限」があります。

たとえば5年・月1,000kmコースでは、

60,000kmまで 免責基準内
60,000km超~90,000kmまで 追加精算で返却可能

という区分です。

3年契約なら36,000kmが免責基準、54,000kmが精算可能上限です。

つまり65,000kmと100,000kmでは同じ「距離オーバー」でも意味が違います。

まだ追加精算可能な範囲なら返却額と売却額を比較できます。

精算可能上限を超えているなら、通常の返却条件から外れるため、販売店へ具体的な処理方法を確認したうえで売却・買い取りも比較する必要があります。

ホンダは車種によって距離精算額が違う

ホンダでは、契約走行距離を超えた場合の負担額が車種によって違います。

1km5円の車もあれば、6円、7円、8円、10円の車もあります。

そのため同じ10,000km超過でも、

5円なら5万円
10円なら10万円

と倍の差になります。

走行距離が多いホンダ車で返却か売却か迷っているなら、ネットで見た「1km○円」ではなく、自分の車種に設定された単価を確認してください。

返却精算が5万円なのか10万円なのかで、売却査定との損益分岐点も変わります。

スズキは超過距離を金額にしやすい

スズキの「かえるプラン」は、現在の公式条件では規定距離を超えた分について1km5円です。

5年契約で70,000kmなら、基準60,000kmに対して10,000km超過となり、走行距離分は5万円です。

このように返却時の金額を概算しやすい商品では、

5万円払って返す

現在の査定額で売却する

という比較ができます。

ただし傷などの査定減点が基準を超えているなら、その精算分も返却側に加える必要があります。

走行距離が多いほど売却が有利になるとは限らない

距離を走っている車では、

「ディーラーは距離超過を取るから買取店のほうが得」

と思いがちです。

しかし買取店も走行距離を無視するわけではありません。

中古車として再販売する価格を考えて査定するため、同じ年式・状態なら走行距離が多いことが価格へ影響する可能性があります。

返却では契約で超過単価が決まっている一方、売却では市場価格が動きます。

そのため、過走行で中古車価格が大きく下がる車なら、契約上の超過料金を払って返却したほうが有利なことがあります。

一方、人気車で中古車相場が高ければ、距離が多少多くても残債を上回る査定が出る可能性があります。

返却でも査定額の上振れを使える商品がある

「残クレで返却すると、どれだけ高く売れる車でも設定残価で終わる」とは限りません。

たとえばスバルでは、実際の査定額が残債より高かった場合、その差額を次の車の頭金として利用できると案内しています。

つまり、返却・乗り換え側でも中古車価値の上振れを利用できる商品があります。

メーカーや販売会社によって扱いが違うため、

「返却した場合に査定額が残価を上回ったら差額はどうなるか」

も確認してください。

これによって、買取店へ売る必要性が変わることがあります。

満期前に売るなら「残価」ではなく一括精算額を使う

契約満了時ではなく、まだ残クレが1年、2年残っている状態で売却する場合は注意が必要です。

この場合、契約書に書かれた最終回の残価だけを買取査定と比べてはいけません。

現在の残りの月払いと残価などを含めた、早期一括精算額を確認します。

たとえば、

契約上の残価 150万円
現在の一括精算額 220万円
買取査定 190万円

なら、

「査定190万円は残価150万円を超えているから40万円得」

とはなりません。

実際には220万円を精算する必要があるため、30万円不足します。

満期前に売るなら、金融会社へ希望日時点の正式な一括精算額を出してもらってください。

買取契約は残債を確認してから結ぶ

残クレ車を売却するときは、査定額だけを見て先に買取契約を結ばないほうがよいでしょう。

残価設定型クレジットでは車の所有者が販売会社や金融会社になっていることが多く、基本的には残債を完済して所有権を解除する必要があります。

買取店が精算や所有権解除を手伝う場合もありますが、不足額があれば自分で準備する必要があります。

JPUCにも、買取契約後に想定以上の残債が判明し、キャンセルを希望する相談があります。

まず精算額を確定し、その後に査定を比較する順番が安全です。

最終的には3つの金額を同じ日に取る

走行距離が多く、返却か売却か迷っているなら、ネット上の一般論だけで決める必要はありません。

同じタイミングで3つの数字を出します。

1つ目は、販売店から出してもらう「返却した場合の精算見込み額」です。

走行距離だけでなく、傷なども含めてもらいます。

2つ目は、金融会社から出してもらう「現在の一括精算額」です。

満期なら最終回の扱いを確認し、満期前なら希望日現在の早期精算額を確認します。

3つ目は、買取店の「現在の査定額」です。

その3つがあれば、

返却したら何円持ち出すか

売却したら何円残る、または何円不足するか

を比べられます。

距離が多いだけでは返却か売却かは決まらない

走行距離が多い残クレでは、売却を一度比較する価値があります。

ただし、「距離オーバー=売却が正解」というわけではありません。

契約距離内なら残価保証が有利に働く可能性があります。

少しだけ超過しているなら、数万円の精算で返却したほうが安い場合があります。

一方、超過精算が大きくても中古車相場が強く、査定額が精算額を上回るなら売却が有力になります。

したがって判断するときは、

返却時の追加精算額

と、

売却査定額-残クレの一括精算額

を比べてください。

走行距離はその2つの金額を変える要因の一つであり、それ自体が答えではありません。

地域・契約による違い

残価保証条件、走行距離の基準、超過料金、査定差額の扱いはメーカー、金融会社、販売会社、契約時期によって異なります。

特にトヨタは走行距離条件を販売店ごとに定めると公式に案内しています。

売却時の手続きについても、所有権解除方法や金融会社への精算方法が契約によって異なります。

最終的には自分の契約書・最終回特約と、販売店または金融会社から提示された金額を基準に判断してください。

次に読む記事


距離が多い場合も、実際の買取条件と返却条件を比べます。
→ ディーラー返却と買取店売却、どっち?

出典

ホンダ|残価設定型クレジット(残クレ)

日産自動車|残価設定型クレジット

スバル|スバルの残価設定型クレジット

スズキファイナンス|車両お引取りの条件と注意事項

三菱自動車ファイナンス|スーパーマイカープラン よくあるお問い合わせ

トヨタ自動車|選べる新車の支払いプラン

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一般社団法人日本自動車購入協会|ローンや残価設定型クレジット返済中の車を手放すことはできるの?