残クレの車が事故で全損しても、車がなくなっただけで残りの支払いが消えるわけではありません。
トヨタファイナンスでは、契約中の車が事故全損になった場合は一括返済が必要としています。三菱自動車ファイナンスやダイハツでも、全損車を廃車にする場合はクレジット残金の完済・早期完済が必要です。
ただし、全額を必ず自分のお金だけで払うという意味ではありません。
車両保険の対象になる事故なら、全損保険金を一括返済へ充てられる場合があります。
まず確認するのは、
残クレの一括返済額
車両保険から支払われる金額
その差額
です。
保険金が一括返済額以上なら、残債を保険金で精算できる可能性があります。
反対に保険金のほうが少なければ、車がなくなったあとにも不足分を自分で負担することになります。
全損しても残クレそのものは消えない
残クレは車を借りている契約ではなく、車の購入代金を分割して支払うクレジットです。
将来の車の価値を「残価」として最終回に据え置くことで、それ以外の部分を月々支払っています。
そのため事故で車が全損しても、
「返す車がなくなったから残価もなくなる」
という仕組みではありません。
例えば三菱自動車ファイナンスでは、全損車を廃車にする場合、クレジット残金を完済する必要があります。
ダイハツも全損事故では原則として早期完済処理としています。
全損した時点で、通常の「満了まで乗って車を返却する」という流れから外れ、残っているクレジットを精算することになります。
残価も「払わなくてよくなる」とは限らない
残クレでは月々の支払いとは別に、大きな残価が最終回へ据え置かれています。
例えば、
車両価格500万円
5年後の残価250万円
という契約なら、月々の支払いを抑えられる一方、250万円は最後までクレジット契約の中に残っています。
満了時に条件どおりの車を返却できれば、その残価を車の返却によって精算できます。
しかし全損して車そのものを返却できなくなれば、通常の返却による残価精算はできません。
三菱自動車ファイナンスも、契約途中で一括完済する場合は最終回の残価部分を含めた残金全額を対象としています。
したがって、
「残価は将来の下取り額だから、全損したらなくなる」
とは考えないほうがよいでしょう。
全損時は「残債」ではなく一括返済額を確認する
全損したときに、自分で残りの支払予定表を足して返済額を計算する必要はありません。
契約先へ連絡して、
「事故で全損になったので、現在の一括返済額を教えてください」
と確認します。
ここで出してもらう金額が、保険金と比較する基準になります。
例えば残り36回だから、
月3万円×36回+残価200万円
と自分で計算した金額が、そのまま正式な一括返済額になるとは限りません。
契約条件によって一括精算時の計算があるため、金融会社が算出した金額を使います。
車両保険があれば残債へ充てられることがある
事故原因が車両保険の補償対象で、保険会社から全損と認定されれば、車両保険金が支払われる場合があります。
トヨタファイナンスでは、事故全損時の一括返済について、
保険会社から保険金で精算する
利用者自身で精算する
という方法を案内しています。
つまり、車両保険金を残クレの完済へ充てること自体は想定されています。
ただし重要なのは、
「車両保険に入っている=残債が全額消える」
ではないことです。
保険金はローン残高に合わせて決まるわけではない
車両保険の金額と残クレの残債は、別々の基準で決まります。
車両保険では、契約する車の車種・型式・年式・仕様などをもとにした市場販売価格相当額を参考に、車両保険金額を設定します。
全損になった場合は、原則としてその車両保険金額を基準に保険金が支払われます。
一方、残クレの一括返済額はクレジット契約から計算されます。
だから両者は同じ金額とは限りません。
保険金が残債より多ければ完済できる可能性がある
例えば全損時の一括返済額が280万円だったとします。
車両保険から300万円支払われるなら、保険金で一括返済額をまかなえる可能性があります。
この場合、
車がなくなる
残クレも完済する
という状態にできます。
ただし実際の保険金支払先や残った保険金の扱いは、車の所有者名義や保険契約によって異なります。
全損と分かったら、販売店だけでなく金融会社と保険会社をつないで手続きを確認してください。
保険金が残債より少ないと差額が残る
問題になるのが、
一括返済額300万円
全損保険金220万円
というケースです。
220万円をすべて一括返済へ充てても、80万円不足します。
車は全損してなくなっても、この80万円まで自動的に免除されるわけではありません。
この「保険金と一括返済額の差」が、残クレ全損時に最も確認したい数字です。
残クレでは大きな残価が最後まで据え置かれているため、事故時点によっては車両保険金と残債の間に差が生じる可能性があります。
新車を買った金額がそのまま保険金になるとは限らない
例えば500万円で購入した車でも、全損時に必ず500万円の保険金が支払われるわけではありません。
通常の車両保険では、契約時に設定した車両保険金額が支払限度額になります。
車の市場価値は年数の経過とともに下がるため、保険更新時の車両保険金額も購入時より低くなっていることがあります。
したがって、
新車価格500万円
残クレ一括返済額350万円
現在の車両保険金額300万円
なら、通常の車両保険だけでは50万円不足する可能性があります。
購入価格ではなく、現在の保険証券に記載されている車両保険金額を確認してください。
新車特約が付いていれば受け取れる額が変わる場合がある
自動車保険には、一定の条件を満たす新しい車について、通常の車両保険より手厚く補償する「新車特約」などがあります。
また、年数が経過した車向けに、全損時の買い替え費用などを補う特約を用意している保険会社もあります。
ただし、こうした特約は、
全損になれば無条件でローン残債と同じ額を払う
というものではありません。
新しい車を一定期間内に買い直すことなど、支払い条件が設定されている商品があります。
「新車特約が付いているから残クレ残債も必ず全額消える」とは判断せず、保険会社へ実際の支払見込額を確認します。
車両保険に入っていても事故内容によっては出ない
「車両保険あり」と書かれた保険証券だけで判断するのも危険です。
車両保険には、補償範囲が広い契約と限定された契約があります。
例えば補償範囲を限定したタイプでは、
電柱へ衝突した
ガードレールへ衝突した
といった単独事故を補償しない商品があります。
その場合、事故で車が全損しても車両保険金が出ない可能性があります。
一方で、他車との衝突などは対象になる契約があります。
全損したらまず、
「この事故は自分の車両保険の補償対象ですか」
を保険会社へ確認してください。
全損には「修理できない」と「修理すると高すぎる」がある
全損というと、車が原形をとどめないほど壊れた状態を想像するかもしれません。
しかし保険上の全損には、
物理的に修理できない
だけでなく、
修理費が車両保険金額以上になる
という場合もあります。
例えば車そのものは修理可能でも、
車両保険金額150万円
修理見積180万円
なら、保険上は全損と判定される場合があります。
したがって「まだ直せそうだから残クレもそのまま」と自分で判断せず、保険会社の損害判定と金融会社の手続きを確認します。
全損なら自分だけで廃車しない
残クレやディーラー系クレジットでは、支払い中の車の所有者が販売会社や金融会社になっている場合があります。
ダイハツも、残価設定型クレジットでは販売会社または信販会社が車検証上の所有者になると案内しています。
この状態では、使用者が勝手に全損車を廃車・売却できるとは限りません。
日本自動車購入協会も、残価設定型クレジット返済中の車では所有者がディーラーやローン会社になっていることが多く、全損認定後に保険会社が現車を引き揚げる場合もあるため、勝手に売却契約を進めないよう案内しています。
事故後は、
保険会社
販売店
クレジット会社
の3者へ連絡します。
全損車を買取業者へ先に売らない
事故車買取業者などから、
「この状態でも買います」
と言われる場合があります。
しかし残クレを完済しておらず、所有権が販売会社や金融会社にあるなら、自分だけの判断で売却しないほうがよいでしょう。
さらに車両保険で全損認定された場合、保険金の支払いと引き換えに保険会社が事故車を引き取るケースもあります。
先に買取契約を結ぶと、あとから車を引き渡せなくなる可能性があります。
まず全損手続きと残クレ精算方法を確定させます。
まず4つの金額を確認する
全損したら、感覚で「ローンがあと300万円くらい」と考えるのではなく、数字をそろえます。
確認するのは、
現在の正式な一括返済額
車両保険金額
今回の事故で実際に支払われる保険金見込額
一括返済後に残る不足額
です。
例えば、
一括返済額 320万円
車両保険金 270万円
その他の対象保険金 20万円
なら、
320万円-290万円=30万円
が不足額の目安になります。
逆に保険金合計が320万円以上なら、一括返済をまかなえる可能性があります。
全損した直後に確認する順番
事故直後は、まずけが人への対応や警察への連絡が最優先です。
その後、車が全損になる可能性が出た段階で保険会社へ確認します。
保険会社には、
全損判定になるか
今回の事故は車両保険の対象か
保険金はいくらになる見込みか
を確認します。
同時にクレジット会社には、
全損の場合に契約はどう処理するか
現在の一括返済額はいくらか
保険会社から直接精算できるか
を確認します。
この2つの金額が出て初めて、自分の持ち出し額を判断できます。
「車がないのにローンだけ払う」のを避けられるかは保険との差額で決まる
全損したら残クレだけが残り、何年も車のないまま月々払い続ける、と単純に決まるわけではありません。
トヨタや三菱、ダイハツの案内では、全損時には一括・早期完済の手続きになります。
その一括返済に車両保険金を充てられれば、クレジット契約自体は終了できます。
問題は、
一括返済額より保険金が少ない場合
です。
この不足額を用意できなければ、次の車を購入するためのお金と、全損した前の車の精算負担が重なる可能性があります。
だから残クレ車の全損では、
「車両保険に入っているか」
だけでなく、
「今の車両保険金額で、今の一括返済額をどこまでカバーできるか」
を見る必要があります。
まとめ|全損したら「残債」と「保険金」を別々に出す
残クレの車が全損しても、車がなくなったことだけを理由に残債が消えるわけではありません。
トヨタファイナンスは事故全損時に一括返済を求めています。
三菱自動車ファイナンスも、全損車を廃車にするならクレジット残金の完済が必要です。
ダイハツも、残価設定型クレジットの全損時は原則として早期完済処理としています。
そして重要なのは、残クレ側の一括返済額と車両保険金は別の基準で決まることです。
全損したら、
一括返済額はいくらか
保険金はいくら出るか
保険金で全額返せるか
いくら不足するか
を確認します。
保険金が一括返済額以上なら、保険金によって完済できる可能性があります。
保険金のほうが少なければ、その差額は別に用意する必要があります。
残クレの全損で見るべきなのは、
「車がなくなったのにローンがあるか」
だけではありません。
車がなくなった時点で必要になる一括返済額と、実際に受け取れる保険金の差がいくらなのか。
ここを数字で出すことが、次の車をどうするかまで判断する出発点です。
全損後も残債があるなら、保険金との差額を確認します。
→ 保険金が残債より少ないとどうする?
出典
トヨタファイナンス|契約中のクルマが事故全損や盗難の場合、支払はどうなりますか?
トヨタファイナンス|事故・盗難・災害にあわれたら
三菱自動車ファイナンス|クレジットよくあるご質問・全損事故
ダイハツ|U-CATCH よくある質問・残価設定型クレジット
損保ジャパン|車両保険金額の目安はどれくらい?
損保ジャパン|車両新価特約
一般社団法人日本自動車購入協会|残価設定型クレジット返済中の車で事故を起こした場合
