残クレの走行距離を超えてしまっても、すぐに車を返せなくなるとは限りません。
主要メーカーの残価設定型クレジットでは、一定の範囲なら超過距離に応じた追加料金を支払い、車を返却できる仕組みがあります。
ただし、追加料金は全国一律ではありません。
1kmあたり5円の契約もあれば、車種によって5~10円、1,000km単位で金額を定める契約もあります。さらに日産のように、追加精算で返却できる距離そのものに上限を設けている商品もあります。
最初に確認するのは、「残クレは1kmいくらか」ではなく、自分の契約書に書かれた走行距離条件と超過時の精算方法です。
まず「本当に超過しているか」を契約の総距離で確認する
「月1,000kmプランだから、今月1,300km走ってしまった。300kmオーバーした」
と考えることがあります。
しかし、残クレの走行距離は毎月その場で精算するとは限りません。
たとえば日産では、月1,000kmコースの5年契約なら免責基準は60,000kmです。
スバルでも、月1,000kmプランなら36回契約で36,000km、60回契約なら60,000kmが返却時の基準です。
つまり、ある月だけ1,000kmを超えても、返却時の累計走行距離が契約基準内なら、単純に「その月の超過分×単価」とはならない商品があります。
まず契約書で、
契約年数
選んだ走行距離プラン
返却時の累計上限
を確認してください。
超過料金はメーカーでかなり違う
2026年9月時点で公式情報から確認できる主な例は次のとおりです。
| 契約先の例 | 主な走行距離条件 | 超過時の扱い |
|---|---|---|
| ホンダ | 月1,000kmまたは1,500km | 車種により1kmあたり5~10円 |
| スズキ | 契約年数ごとの総距離 | 1kmあたり5円 |
| スバル | 月1,000kmまたは1,500km | 普通・小型車は条件により10円または20円/km、軽は5円/km |
| 三菱 | 月1,000kmまたは1,500km | 登録車は1,000km超過ごと1万円、軽は5,000円 |
| トヨタ系 | 販売会社・契約による | 5円/kmとする販売会社例あり |
| 日産 | 月1,000kmまたは1,500km | 車種ごとの精算額。精算可能上限あり |
| ダイハツ | 1年12,000kmを基準に契約年数分 | 規定外の場合は別途精算。契約条件確認が必要 |
この表は「どこが一番安いか」を比較するものではありません。
距離条件、返却基準、精算方法がメーカーごとに違うため、単価だけを単純比較できないからです。
ホンダは車種によって1kmの金額が違う
ホンダの残クレでは、月1,000kmまたは1,500kmのプランを選べます。
契約距離を超えて返却する場合の負担額は車種によって違います。
現在の公式案内では、軽自動車の一部は1km5円、コンパクトカーなどは6円、車種によって7円・8円となり、一部車種では10円です。
たとえば1km5円の車で3,000km超過なら、
3,000km×5円=15,000円
です。
1km8円なら、
3,000km×8円=24,000円
になります。
「ホンダの残クレは1km○円」と一つの数字で覚えず、自分の車種の規定額を確認する必要があります。
スズキは超えた距離1kmにつき5円
スズキの新車「かえるプラン」では、車両引き取り時の総走行距離に基準があります。
現在の条件では、
3年 40,000km
4年 50,000km
5年 60,000km
です。
この基準を超えた場合、超過1kmにつき5円を支払います。
5年契約で63,000kmなら、3,000km超過です。
3,000km×5円=15,000円
が走行距離についての追加負担になります。
ただし、傷などの査定減点も基準を超えていれば、その分は別に加算されます。
三菱は「1km」ではなく1,000km単位の表示
三菱の残価設定型クレジット「スーパーマイカープラン」では、月1,000kmまたは1,500kmを選べます。
返却時に契約走行距離を超えた場合、
登録車 1,000km超過ごとに10,000円
軽自動車 1,000km超過ごとに5,000円
という条件です。
そのため登録車で3,000km超過なら、公式の表示方法では3万円の負担となります。
ただし「1,000km超過ごと」という契約表現なので、たとえば1,200km超過した場合の端数処理を自分で1km単位に換算せず、販売会社へ確認してください。
スバルは総走行距離80,000kmを境に単価が変わる
スバルはさらに条件が違います。
普通・小型乗用車では、超過走行について総走行距離80,000km以下なら1km10円、80,001km以上では1km20円という基準があります。
軽乗用車は1km5円です。
たとえば普通乗用車で返却時の総走行距離が80,000km以下の範囲にあり、契約距離より3,000km超えているなら、
3,000km×10円=30,000円
という計算になります。
ただし80,000kmをまたぐ場合は計算条件が変わるため、単純に全超過距離へ10円を掛けず、販売店に精算額を確認したほうが確実です。
トヨタは「トヨタなら全国○円」と決められない
トヨタの残価設定型プランは、販売会社の契約条件を確認する必要があります。
たとえばトヨタモビリティ東京では、新車の残価設定型プランについて、36回なら36,000km、60回なら60,000kmを基準とし、超過1kmにつき5円としています。
愛知トヨタでも超過1kmにつき5円という条件が確認できます。
ただし、この数字を全国すべてのトヨタ販売会社へそのまま当てはめることはできません。
自分が購入した販売会社の特約書を見る必要があります。
日産は「何km超えたか」だけでなく精算可能上限を見る
日産は、このテーマで特に注意が必要です。
月1,000kmコースの場合、たとえば5年契約なら60,000kmまでが免責基準です。
しかし60,000kmを超えた瞬間に返却できなくなるわけではありません。
5年契約・月1,000kmコースでは、90,000kmまで「精算可能上限」が設定されています。
つまり、
60,000kmまで 基準内
60,000km超~90,000kmまで 追加精算して返却可能
90,000km超 通常の追加精算で返却できる範囲を超える
という段階があります。
3年・月1,000kmなら、免責基準36,000kmに対して精算可能上限54,000kmです。
月1,500kmコースではさらに上限が変わります。
日産は超過距離の精算額を車種ごとに設定しているため、「1km○円」とネット上の一般論で計算せず、販売店に金額を確認してください。
5,000km超過でもメーカーによって金額は同じではない
たとえば5,000km超過しているとします。
1km5円の契約なら、
5,000km×5円=25,000円
です。
1km10円なら、
5,000km×10円=50,000円
になります。
しかし、日産のように車種ごとの精算額を採用する商品や、三菱のように1,000km単位で表示する商品があります。
したがって、
「残クレで5,000kmオーバー=5万円」
とは一律に言えません。
自分の契約の単価を確認して初めて計算できます。
距離の追加料金だけで終わるとは限らない
返却時に確認されるのは走行距離だけではありません。
たとえばホンダでは、内外装の査定減点が100点を超えれば、超過1点につき1,000円の負担があります。
スズキでは査定減点50点を超えた部分も別途精算します。
スバルでも、走行距離の精算とは別に車体損傷や事故による価値減少分を合算します。
つまり返却時の最終的な負担は、
走行距離超過分
+傷やへこみ等の精算
+事故・修復歴などの精算
になる場合があります。
走行距離だけ計算して「追加料金は2万円」と決めてしまわないようにしてください。
走行距離を超えたからといって、すぐ走るのをやめる必要はない
すでに契約距離を超えてしまった場合、
「これ以上1kmも走らないほうがいいのか」
と考えるかもしれません。
追加料金が1km単位で増える商品なら、確かに走るほど精算額は増えます。
ただし、車を使わず別の交通手段に切り替える費用のほうが高い場合もあります。
たとえば1km5円の契約なら、追加で1,000km走った精算額は5,000円です。
それを避けるために何万円ものレンタカー代や交通費を払うのであれば、経済的には逆になることがあります。
重要なのは、追加料金の単価を把握したうえで判断することです。
ただし日産のように精算可能上限がある契約では、単価だけでなく上限までの残り距離も確認してください。
返却せず買い取るなら考え方が変わる
走行距離の超過精算は、各社の公式案内では主に車を返却・乗り換えする際の条件として設定されています。
一方、最終回の残価を支払ってその車に乗り続ける場合は、車を返却しません。
そのため、
走行距離が大幅に超過している
返却時の精算額も大きくなりそう
もともと長く乗るつもりだった
という場合は、返却と買い取りの両方の金額を販売店に出してもらう意味があります。
ただし、「買い取れば超過料金は必ずゼロ」と契約書を確認せず決めつけないでください。
自分の契約で買い取りを選んだ場合に返却時精算がどう扱われるのかを確認します。
満期前なら「あと何km走るか」を計算する
まだ契約終了まで時間があるなら、現在の走行距離だけでは最終的な追加料金は決まりません。
たとえば5年・60,000kmが基準の契約で、4年経過時点で55,000km走っているなら、残り1年を今までと同じペースで走れば基準をかなり超える可能性があります。
逆に、現在少しペースが速くても、今後の利用が減れば最終的に基準内へ収まることもあります。
確認するのは、
現在の走行距離
返却までの残り月数
現在の月平均走行距離
です。
「もう超えそう」な段階なら、返却時の予想距離まで計算しておくと追加料金の概算を出せます。
返却前に修理費と一緒に正式な精算見込みを確認する
すでに距離を超えていて満期が近いなら、販売店へ現在の走行距離を伝えて精算見込みを聞きます。
その際、
走行距離だけの追加額
傷などを含めた車両状態の精算見込み
そのまま返却した場合
車を買い取る場合
を分けて確認すると判断しやすくなります。
「走行距離5,000kmオーバーだから○万円」と自分で計算して終わらせるのではなく、最終的に車をどうするかまで含めて金額を出すことが重要です。
走行距離を超えたら契約書の3か所を見る
すでに距離を超えているなら、まず契約書・特約書で次の内容を確認します。
契約走行距離。
超過時の精算単価。
追加精算で返却できる上限があるか。
この3つです。
そのうえで、
超過距離×契約上の単価
で概算できる商品なら追加料金を計算します。
メーカーサイトで見つけた「5円」「10円」を自分の契約へそのまま使わないでください。
契約時期や車種、販売会社によって条件が違う可能性があります。
残クレの走行距離を超えてしまったときに重要なのは、「何km超えたら終わり」と考えることではありません。
自分の契約では、その超過が何円になり、どこまでなら追加精算で返却できるのか。
ここまで確認して初めて、返却するか、そのまま乗り続けるかを判断できます。
地域・販売会社による違い
走行距離の基準や超過料金は全国一律ではありません。
特にトヨタ系では販売会社によって条件が設定されている例があります。
また、同じメーカーでも車種、軽自動車か登録車か、契約した走行距離コース、契約時期によって単価や上限が異なる場合があります。
数年前に契約した残クレについては現在の公式サイトの条件と同じとは限らないため、最終的には自分の契約書・特約書を優先してください。
出典
ホンダ|残価設定型クレジット(残クレ)
ホンダファイナンス|残価設定型クレジットの車両返却時の契約走行距離
日産自動車|残価設定型クレジット・残価保証の条件
スバル|残価設定型クレジット・自動車の引き取り条件
スズキファイナンス|残価設定クレジット「かえるプラン」車両お引取りの条件と注意事項
三菱自動車ファイナンス|スーパーマイカープラン よくあるお問い合わせ
トヨタモビリティ東京|いろいろな買い方・残価設定型プラン
愛知トヨタ|残価設定型
ダイハツ|ワンクレ(ワンダフルクレジット)
