残クレの満期が近づいて査定してもらったら、
設定残価 180万円
現在の査定額 150万円
だった。
30万円の残価割れです。
この場合、すぐに「30万円払わないといけない」と考える必要はありません。
まず確認するのは、査定額ではなく残価保証が使える状態かどうかです。
残価保証条件を満たしているなら、中古車相場が下がって査定額が設定残価を下回っていても、購入店へ返却することで最終回を精算できる残クレがあります。
反対に、傷・走行距離・事故などで残価保証条件を外れているなら、返却でも追加精算が発生する可能性があります。
つまり、
「査定額が残価より低いから返却・売却・乗り換えのどれが得か」
ではなく、
「残価保証がまだ使えるか」
から判断するのが先です。
「残価割れ」を2種類に分ける
残価割れという言葉は幅広く使われています。
この記事では、まず2つに分けます。
1つ目は、市場価格の残価割れです。
契約時に180万円の残価を設定したものの、満期時の中古車市場では150万円しか査定が付かない状態です。
車に大きな問題はなく、走行距離なども契約条件内です。
2つ目は、返却条件を外れたことによる残価保証外です。
たとえば、
走行距離を超えている
大きな傷やへこみがある
事故修復歴がある
違法改造などがある
といったケースです。
この2つを同じ「30万円の残価割れ」と考えると、出口を間違えます。
市場価格が下がっただけなら返却で差額を払うとは限らない
残クレには、契約時に将来の残価を設定する商品があります。
トヨタでは、残価保証条件を満たしていれば、中古車相場の下落によって利用者が負担することはないと案内しています。
たとえば、
設定残価 180万円
現在の市場査定 150万円
でも、
走行距離や車両状態などが残価保証条件内なら、
「30万円足りないので払ってください」
と単純計算する仕組みではありません。
購入した販売店へ返却し、契約条件を満たしていれば、原則として最終回180万円の支払いを返却で精算できます。
これが残価保証の意味です。
この状態なら返却が比較の基準になる
市場査定が残価を下回り、残価保証条件には問題がない。
この状態なら、最初に購入店へ返却した場合の精算額を確認します。
たとえば、
設定残価 180万円
他社査定 150万円
返却時精算金 0円
なら、他社へ150万円で売って180万円を精算するより、購入店へ返却するほうが30万円を自分で補わずに済みます。
市場価格が下落したリスクを残価保証が吸収しているからです。
このケースで、査定額だけ見て無理に売却する必要はありません。
売却を選ぶなら設定残価と査定額を比べる
満期時に他社買取店へ売る場合は、残価保証とは別の話になります。
他社買取店は、契約時に決めた残価ではなく、その時点での中古車としての価値を査定します。
設定残価180万円に対して、
買取額150万円
なら、売却代金だけでは180万円を精算できません。
差額30万円を自分で補って残クレを完済し、所有権解除をして売却する必要があります。
つまり市場価格が残価を下回っている場合、残価保証条件内なら、
返却 差額を保証で吸収できる可能性がある
他社売却 市場価格で売るため不足分が出る
という違いが生まれます。
ただし売却査定は1社だけで決めない
最初の査定が150万円だったからといって、本当に30万円残価割れしているとは限りません。
別の買取店では、
1社目 150万円
2社目 165万円
3社目 185万円
となることも考えられます。
3社目が185万円なら、設定残価180万円を上回ります。
その場合は、残クレを精算して他社へ売却し、差額を受け取れる可能性があります。
したがって残価割れを判断する査定額は、ディーラー1社の下取り査定だけではなく、現在の市場価値も確認しておく意味があります。
ただし売買契約を結ぶ前に、正式な一括精算額も確認してください。
契約途中なら「設定残価」ではなく一括精算額を見る
まだ満期になっていない場合は特に注意が必要です。
契約書に、
設定残価180万円
と書いてあっても、今売るために180万円だけ払えば終わるわけではありません。
まだ通常月の支払いも残っています。
そのため契約途中では、
設定残価
と、
現在の一括精算額
は別です。
たとえば、
設定残価 180万円
現在の査定額 170万円
なら、一見10万円の残価割れです。
しかし現在の一括精算額が230万円なら、途中売却では60万円不足します。
逆に満期時に残価保証条件内で返却するなら、考える数字は変わります。
残価割れの記事で「残価」と「残債」を混ぜないことが重要です。
乗り換えは「返却して乗り換え」か「下取りして乗り換え」か確認する
「ディーラーで乗り換えれば大丈夫」
と言われることもあります。
しかし乗り換えという言葉だけでは、今の車をどう精算するのか分かりません。
ホンダでは、最終回に車を返却して新車へ乗り換える方法と、最終回前に下取りへ出して乗り換える方法を分けています。
返却して乗り換えるなら、現在の車は残価保証条件に基づいて精算します。
一方、下取りして乗り換えるなら、現在の車の下取り価格と残りの返済額を使って精算することになります。
販売店から乗り換えを提案されたら、
「今の車は残価保証を使って返却する扱いですか。それとも下取りですか」
と確認してください。
ここが違えば、同じ乗り換えでも負担額が変わります。
残価保証条件を外れていたら返却でも0円とは限らない
市場価格の残価割れなら残価保証が役立ちます。
しかし車そのものが返却条件を外れている場合は別です。
ホンダでは、内外装の査定減点、走行距離、事故修復歴などについて返却条件を設定しています。
条件を超えれば、超過した減点や走行距離などに応じた精算金が発生します。
日産も、走行距離や内外装の基準を超える場合には精算が必要としています。
トヨタも、損傷・事故修復歴・違法改造・走行距離などを残価保証条件としています。
したがって、
市場査定150万円
設定残価180万円
という30万円だけを見るのではありません。
返却時に実際いくら精算金が発生するのかを販売店に出してもらいます。
条件外なら「返却精算金」と「売却不足額」を比べる
たとえば、
設定残価 180万円
他社買取額 150万円
だったとします。
他社売却なら30万円不足します。
一方、返却条件を外れており、購入店から、
返却時精算金 8万円
と提示されたとします。
この場合、
返却 8万円
他社売却 30万円
という比較になります。
反対に、
返却時精算金 40万円
他社買取額 170万円
なら、
返却 40万円
売却時不足 10万円
となり、売却側の条件も確認する意味が出ます。
「残価割れしているから必ず返却」ではありません。
返却条件を外れている車では、実額を出して比較する必要があります。
事故車なら特に「残価保証が使えるか」を先に確認する
事故で修理した車は、市場査定額が大きく下がることがあります。
しかし重要なのは、
事故を起こした
ことだけではなく、
契約上「事故修復歴あり」に該当する状態なのか
です。
メーカーの返却条件では、事故修復歴が別途精算の対象になっていることがあります。
この場合は、
市場査定が残価以下
という問題に加え、
残価保証条件外
という問題も発生します。
まず販売店で返却時の扱いを確認し、その後に他社査定と比較します。
走行距離超過でも同じ考え方になる
走行距離が契約条件を超えている場合も同じです。
たとえば中古車市場での査定が残価より20万円低かったとしても、
返却時の超過走行精算が3万円
なら、返却の負担は3万円で済む可能性があります。
逆に超過距離が非常に多く、返却時の精算負担が大きくなるなら、他社売却との比較が必要です。
残価保証条件外だから即売却でも、即返却でもありません。
まず返却時精算額を数字にします。
返却と「返却して乗り換え」は今の車の処理がほぼ同じ場合がある
満期時に、
今の車は不要なので返却して終わる
場合と、
今の車を返却して同じ販売店で新車へ乗り換える
場合があります。
トヨタでは、購入した販売店への返却と、同じ販売店へ返却したうえで新車へ乗り換える場合の双方について、残価保証条件を満たせば最終回の支払いは原則不要と案内しています。
ホンダにも最終回に車両返却して新車へ乗り換える選択肢があります。
したがって、
「乗り換えなら残価割れが消える特別な仕組み」
というより、
現在の車を残価保証で返却して精算し、その後に次の車の契約をする
という形になるケースがあります。
今の車の損得と、次の車の購入条件は分けて見たほうが分かりやすくなります。
次の残クレへ乗り換えれば残価割れが帳消しになるわけではない
販売店から、
「次も残クレなら月々○万円です」
と提案されると、現在の車の残価割れが解決したように見えることがあります。
しかし見るべきなのは、新しい車の月額だけではありません。
現在の車について、
残価保証で精算されたのか
返却精算金を別途払ったのか
下取り不足額が新しい契約に影響しているのか
を確認します。
特に返却条件を外れたことで発生する精算金については、新しい車のクレジットへ自由に入れられるとは限りません。
日産では、返却条件を超えて発生した精算金について、分割払いや新しい車のクレジットへの組み込みはできないと案内しています。
「乗り換えれば全部まとめられる」とは考えないほうがよいでしょう。
そのまま乗り続ける選択肢もある
残価割れしたから必ず車を手放す必要もありません。
今の車が気に入っていて、そのまま乗りたいなら、最終回残価を払って車を自分のものにする方法があります。
メーカーによっては、最終回残価を再度分割する「再クレジット」も選べます。
ただし、
中古車市場では150万円の車に対して
最終回180万円を払う
という状態なら、単純な市場価値だけで見ると30万円高く取得することになります。
それでも、
同程度の別の車へ買い替える費用
新しい車の税金・登録費用
今の車の状態や整備履歴を把握している安心感
などまで考えれば、乗り続ける判断が成立する人もいます。
残価割れだけで即座に買い取りを否定する必要はありません。
自分の場合は3つの金額を出せば判断しやすい
満期が近いなら、まず購入した販売店から、
返却した場合の精算額
を出してもらいます。
次に、
最終回残価
を確認します。
そして複数の買取店で、
現在の買取額
を確認します。
たとえば、
最終回残価 180万円
返却時精算金 0円
最高買取額 155万円
なら、市場価格の残価割れを残価保証で吸収できる返却が比較の中心になります。
一方、
最終回残価 180万円
返却時精算金 35万円
最高買取額 170万円
なら、売却した場合の不足10万円との比較が必要です。
そして新しい車が必要なら、選んだ方法で今の車を精算したあと、次の車の条件を別に比較します。
残価割れしたら「残価保証が使えるか」で入口を決める
残クレで残価割れしたとき、最初から、
返却
売却
乗り換え
の3択を並べても答えは出ません。
先に確認するのは、
残価保証条件を満たしているか
です。
条件内で、市場査定だけが設定残価を下回っているなら、返却または返却して乗り換える方法では、相場下落分をそのまま負担せずに済む可能性があります。
一方、傷・走行距離・事故などで返却条件を外れているなら、返却にも精算金が発生します。
その場合は、
返却時精算金
他社売却時の不足額
を実額で比べます。
そして乗り換えるなら、
今の車を残価保証で返却するのか
下取りとして処理するのか
まで確認します。
「査定額<残価」だけなら返却を確認。「残価保証条件外」なら返却と売却を実額比較。乗り換えは、そのどちらで今の車を処理するのかを確認する。
ここまで分ければ、残価割れしていても自分の場合の出口を判断できます。
地域・契約による違い
残価設定型クレジットは全国で一律の制度ではなく、メーカー、金融会社、販売会社、契約商品ごとに返却条件が異なります。
トヨタでは販売店によって残価保証の取り扱いや走行距離条件などが異なる場合があります。
ホンダでは内外装の減点や契約走行距離などについて具体的な精算基準があります。
日産も契約走行距離や内外装の基準を設定しています。
そのため実際の判断では、一般的な「残価割れ」という言葉ではなく、自分の契約書に記載された残価保証条件と販売店から提示された精算額を基準にしてください。
出典
トヨタ自動車|選べる新車の支払いプラン
トヨタ自動車|残価設定型プランに関するFAQ
ホンダ|残価設定型クレジット(残クレ)
ホンダファイナンス|残クレで車両返却を選択した場合のお支払い条件
ホンダファイナンス|残価設定型クレジットの最終回支払方法
日産フィナンシャルサービス|残価設定型クレジットとは
日産フィナンシャルサービス|残価設定型クレジットQ&A
日産フィナンシャルサービス|返却時の契約走行距離について
日産フィナンシャルサービス|返却時に発生する精算金の分割・新規クレジットへの組み込み
一般社団法人日本自動車購入協会(JPUC)|ローンや残価設定型クレジット返済中の車を手放すことはできるの?
