残価設定型クレジット(残クレ)は、車両価格の一部を「残価」として最終回まで据え置くことで、月々の支払額を抑える仕組みです。
ただし、「残価を差し引いた金額だけに金利がかかる」と考えるのは正確ではありません。
残クレでは、据え置いた残価を含む元金に対して分割払手数料が発生する商品があります。トヨタファイナンスも、残価設定型クレジットについて「分割払手数料は、残価を含めた元金に対して発生する」と案内しています。
そのため、月々の支払額は安くなっても、同じ金利・同じ期間などの条件で通常のクレジットと比べると、分割払手数料の負担が大きくなることがあります。
残クレの月々が安いのは、残価を最後に残しているから
例えば300万円の車で、5年後の残価を120万円に設定したとします。
残クレでは120万円を最終回まで据え置き、残りを中心に毎月支払っていくため、300万円全体を通常のローンで返済する場合より月々の支払額を抑えられます。
ここで間違えやすいのが、
「300万円-残価120万円=180万円だから、180万円にだけ金利がかかる」
という考え方です。
実際には商品によって、最終回に据え置いた120万円も含めた元金を基準に分割払手数料が計算されます。
残価は「値引きされた金額」ではありません。
最終回まで支払いを先送りしている金額と考えた方が、残クレの仕組みを理解しやすくなります。
なぜ通常のローンより利息負担が増えやすい?
通常のローンでは、毎月返済するたびに元金残高が減っていきます。
一方、残クレでは大きな残価を最終回まで据え置きます。
つまり、毎月の返済額は小さくできても、契約期間中に大きな金額が残った状態が続きます。
この違いが、分割払手数料の差につながります。
日産の中古車向け据置払クレジットには、同じ車両、同じ5.9%、同じ36回払いで通常クレジットと比較した公式例があります。
| 比較項目 | 据置払クレジット | 通常クレジット |
|---|---|---|
| 手数料率(実質年率) | 5.9% | 5.9% |
| 月々の支払額 | 39,200円 | 63,700円 |
| 分割払手数料 | 277,301円 | 196,753円 |
月々では据置払クレジットの方が2万円以上安くなっています。
ところが分割払手数料は、据置払クレジットの方が80,548円多くなっています。
同じ金利でも、「元金をどのタイミングで減らしていくか」によって手数料が変わることが分かります。
「残価にも金利がかかる」と「最後に残価を払う」は別の話
もう一つ混同しやすいのが、契約満了時の残価の扱いです。
残クレでは一般的に、最終回に次のような選択肢があります。
・車を返却する
・別の車へ乗り換える
・残価を一括で支払って乗り続ける
・残価を再度分割して乗り続ける
返却や乗り換えを選び、契約上の条件を満たしていれば、残価を現金で支払わずに精算できる場合があります。
しかし、「最後に残価を現金で払わない」ことと、「契約期間中に残価部分の分割払手数料が発生しない」ことは同じではありません。
ここを分けて考える必要があります。
残クレなら必ず通常ローンより利息が高いわけではない
残クレは残価を据え置くため、同じ金利・同じ期間などで比較すれば分割払手数料が増えやすい仕組みです。
ただし、実際の契約では金利が違います。
例えば残クレに低金利キャンペーンが適用され、比較する通常ローンの金利が高ければ、残クレの方が分割払手数料を抑えられる可能性もあります。
反対に、
・残クレの金利が高い
・残価が大きい
・契約期間が長い
といった条件が重なると、月額だけを見たときより分割払手数料の負担が大きくなることがあります。
したがって、
「残クレだから高い」
「月々が安いから得」
のどちらでも判断できません。
実際の見積書で比較する必要があります。
車を最後に買い取るなら再クレジットにも注意
契約満了後も車に乗り続けたい場合、残価を一括で支払う方法のほか、残価を再度分割する方法が用意されていることがあります。
再クレジットを利用すれば、大きな現金を用意せず乗り続けられます。
ただし、再クレジットには新たな分割払手数料が発生します。
また、当初の残クレと同じ金利がそのまま適用されるとは限りません。例えばHondaでは、再クレジット申込時の実質年率が適用されると案内しています。
「5年間の残クレが終わったら、そのまま再ローンにすればいい」と考えている場合は、最初の契約期間だけでなく、残価の支払いまで含めて考える必要があります。
見積書では月々ではなく「分割払手数料」を見る
残クレを検討するときは、営業担当者から提示された「月々○万円」だけで判断しない方がよいでしょう。
見積書では少なくとも、
・現金販売価格
・頭金
・クレジットの元金
・実質年率
・最終回支払額(残価)
・分割払手数料
・支払総額
を確認します。
そのうえで、同じ車・同じ頭金・できるだけ同じ支払期間で、通常クレジットやマイカーローンの見積もりも出して比較します。
特に見るべきなのは「月々いくら違うか」だけではありません。
「月額を下げるために、分割払手数料を合計でいくら多く払うのか」
まで確認すると、残クレを選ぶ意味が見えてきます。
月々の負担を抑えて数年ごとに乗り換えたいなら、手数料が多少増えても残クレを選ぶ意味があります。
一方、最初から長く乗り続ける予定で、支払総額をできるだけ抑えたいなら、通常のローンや金利の低いマイカーローンも含めて比較した方が判断しやすくなります。
出典
トヨタファイナンス|クルマを購入する時のお支払い方法
日産自動車|日産 中古車 据置払クレジット
Honda|残価設定型クレジット計算
